ダメに決まってるでしょ?その、そうくんって、みきのなんなの?松島って子だよね?ちゃんとしてる子なの?ちゃんとしてる子なら、なんであなたを誘ってきたの?ちゃんとしてないから、誘ってくるんだよね?親はなにしてる人なの?あなたを心配して言ってるの。取り返しのつかない事になることだってあるよのよ。
無理に決まってるでしょ?あなたみたいな子は無理よ。土日の練習だって、毎回行けるかもわからないし、だれが送り迎えするの?学校であるって言ったって、親が送り迎えしなきゃいけないでしょ?道具にもお金はかかるし。同じお金を使うなら、参考書を買ってあげる。
返してらっしゃい、今すぐ。ともちゃんが本当に買ったものなのかな?万引きしてきたもので、親に見つかるといけないから、人にあげてるんじゃないの?家がわからないなら、学校の先生を通して返しなさい。ともちゃんのおにいちゃんは、東高でしょ?東高は、あんまり柄が良くない子が行くから、ともちゃんもそうなるよ、付き合わないほうがいい、断れないなら、お母さんが断ってあげる
ぱしん!!←ビンタ
そんなこと、わからないでしょ?そうやって、ともちゃんをかばうってことは、もうあなたは仲間なんじゃないの?一緒に万引きしたものを、ともちゃんにもらったって言えば、お母さんが納得するとでも思った?明日から学校いかなくていいから。家にいなさい。学校に行って、あなたがともちゃんみたいになるのは困るから。わかった?わからないなら、この柱に縛っておく。わかるまで、縛られたまま、立ってなさい
ビンタの数は日に日に増える。
お話の時間は日に日に増え、背中や足は物で叩かれた。
私が、悪い子だから。
私が悪い子で、腐った人間だから、お母さんは辛い思いをしてる。
学校には、行きたかった。というより、家に自分の居場所なんてなかった。学校にもなかったけど、誰にも声をかけられなくても、お前は腐ってる、クズ、恥さらし、お前を殺して私も死ぬ、、、と言われないだけ、マシだった。
ひっそりしてるつもりなのに、、、見てる人は見てる。
昨日のお話の時間に何回かビンタされて、口の中がたくさん切れて。今日はその傷が腫れてて、うまく話せない。
そうくん、ありがとう、でも、ほっといて。私みたいな、クズ。
早く死にたい
成績はよかったから、よく、ノートを貸してくれとか、教科書を貸してくれとか言われた。
でも、それもバレるとすごく怒られた。
なぜ怒られるのか、わからなかった。
でも、ひたすら、謝った。
私の家は、ここだから。
よその家と違っていたとしても、私はこの人から生まれて、この人と違う考えを持ってしまった。だから、怒られる。
だから、腐ってると言われる。
わかってる、、、お母さんの言いなりにしてればいいんでしょ。
いちいち答えてるのが、バカバカしくなるけど。よその人からしたら、そうなんだろうな、、、
自分のかいた世界を、そのまま認めて評価してくれる美術の先生が好きだった。
もうすこし、こうしたら、もっといいよ
よく、こんなこと、思いついたね
この発想は、俺にはなかったな、負けたよ
そうくんは、いつも励ましてくれてた。その柵を飛びこえるように。
私は、それを受け止めることもできず、いつも逃げてた。
一緒に帰ってた訳じゃない、たまたま、角を曲がったら、居たから少し話をしながら歩いていただけなのに。
母に見つかった
悪いことをしてる訳じゃないのに、、、見つかった、という表現。。。
あなた、みきのなに?
うちのみきとは、金輪際、話をしないでください。
パシン!!
口ごたえするな、生意気に!
あなたに言われる筋合いはない、私はこの子の親だから。
みきの何を知ってるの?みきの将来の責任が取れるの?学校の先生に報告しておきます。もう2度と、話しかけないでください
私は顔を横に振った。
情けなかった、、、
人前で叩かれたこと、
母がよその子に暴言を吐いたこと、
今まで、そうくんには隠してた事がバレたこと。
家に帰ってからも、お話は続いた。私が私の意見を言えば言っただけ、ヒートアップし、物が飛んできたり、包丁を突きつけられたり。冷静な判断など、出来るはずなんてなかった。
夏休みは、家に居た。
塾に行かせて貰っていただけ、本当にマシだった。夏休み中、ずっと勉強しかしてないから、自ずと成績は上がった。塾のクラス分け、2週間でA組まで上げ、先生から表彰された。
しかし、母は、気を抜くな、ただそれだけだった。
それでも、母は、私を愛しているからそうするのだと。大切に思うからこそ、こうしてるのだと。わかるよね?
と言われたら、わからなくても、わかります、というより他、選択肢などない。
塾に行くバス停で、そうくんが待ってた。どこかに行くのだろうと、少し離れて見ていた。
そうくんは私に気がつき、手を引いて裏の公園へ連れ出した。
バスに飛び乗った。
そうくんは追いかけてきて、バス乗り、隣に座った。
そうくんは、雑に折り畳んだ紙を私に渡して、次のバス停で降りて行った。
夏祭りの日、7時にパン屋さんのとこで待ってる。
誰にもその事を言ってないのに、次の朝、ほっぺたをつねり上げられ、起こされた。
この手紙はなに?
いつ貰った?
誰に貰った?
なぜ言わない?
私はなにも言えなかった。
あの手紙がそこにある事を知ってるってことは、毎日カバンをあさって、チェックしてるって事?
怖い、、、
突然、恐怖に襲われる
なんだ?その目は??
叩かれた場所が悪く、鼻血が出てきた、、、
止まらない、、、
止まらないし、ティッシュも取ってもらえず、、、
手を合わせ器のようにして、血を受ける、、、
両手でいっぱいになっても、止まらなかった、、、
母も止まらなかった
怒り狂った母は、松島くんの家に電話をする
何度もお願いした。腹を蹴りあげられ、血が床に落ちる、、、
このまま、体の中の血が全部出てしまえばいいのに、、、
本気で思っていた。
松島くんは、ぼくが手紙を書いて渡したと。お祭りに、一緒に行きたいんだと、お願いしてくれた。
それでも、母は、また松島くんに暴言を吐き、また学校へ通報した。
学年主任の美術の先生がウチに来た。
私は会わせて貰えなかった。
私が生きてるから、何もかも、こうなるんだと思ってた。
そんな生活は、毎日の日課となった。
松島くんは、それでも学校では話かけてくれてた。わたしは、無視してたけど。
冬、雪がすこし積もったある日、怒り狂った母が、私を庭に放り出した。
凍死しろ!と。
あまりの寒さに涙すら出なかった。
しかし。
その寒空の下、庭から周り、素足のまま、雪の道を走ってみた。
飼いならされてた麒麟が
高い柵を飛び越えた
とても、自由だった
あぁ、これで、やっと死ねる
そう思い、道を歩いていた。
気がつくと、松島くんの家が見える高台に来てた。
このまま、あたし、居なくなってしまえば、、、
誰も知らない所にいってしまえば、生きていけるのもしれない、、、
Wonder Child!限りない草原を
知らないままじゃ僕らは
こんなにも汚れきった世の中で
死んだように生きるだけ
目を覚ませ たてがみを隠してる
勇気あるはみ出し者よ
天高く空に吠えてみるんだ
魂の限り叫べ
We're Wonder Child!
10月23日発売
麒麟の子
絶賛発売中
#ジャニーさんセクゾの新曲聴いてね
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やっと、です。
ちょっと、、、難しい題材で、暗くなってしまった。でも、その先には、新しい世界がある。
今の若い子たちに、訴えたい気持ち。
勇気をもって、未来を作って欲しい。
とりあえずさ。
1人1枚、買ってみようよ、今週中に。
お願いします
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。