ケイタ視点
キーンコーンカーンコーン…
4時間目授業終了のチャイムがなり、ざわざわと教室が騒ぎ始めた。
少し机の上で伸びをして隣にいるあなたの方を見た
彼女も眠たそうに小さくあくびをしていた
…かわいい
あなた達は教室を出ていった
今日日直なん忘れてたわー…
さっさっと黒板を消すと、弁当を持って教室を出た
教室を出た瞬間クラスメイトに声をかけられた
雫石はあなたの名字。
クラスメイトに渡されたのは小さなリボンがついた袋。タグには「雫石さんへ」と書かれている。
…ほーう
向こうで確認だな
そういった否、さっさと教室に帰っていった
…あなた当てねぇ…。変なの入ってないといいけど
俺はさっきのクラスメイトを見ると屋上へ急いだ。
屋上の扉を開けると視界が青空でいっぱいになった。
今日は天気がいいなぁ、昼寝には丁度いい
まっちゃんが俺に気づいて手招きをした
俺はそっちに走っていった
あなたは柔らかい笑顔で言う
そ、その顔は反則すぎる…
横にいるてんてんとM君を見ると2人も俺と同じ気持ちなのが顔で伝わる
Tつぐが2人の頭を軽く叩く
それを2人は大袈裟に痛がった
Tつぐが財布をあなたに渡した
あなたが屋上の扉を閉めたのを見送ってから俺らは顔を見合わせる
KCは袋を手に取った。
俺らは、何を隠そうあなたが好きだ。
あの純真無垢な笑顔を汚すわけにはいかないと俺らは誰もが思っている。
こういう厄介者を周りに寄せ付けないようにするのが俺達の仕事。
これだってそうだ。俺達の姫は、俺達で守らなきゃいけない。
Tつぐがあなたに飲み物を買いに行かせたのは確認するため
こういう時に役立つのがKCとてんてん。普段もそうだが2人はムードメーカーなので空気を作りやすい。
袋も元通りにした瞬間あなたが帰ってきた
…ギリギリセーフ
あなたがリボンを丁寧に解き中身を見る
中身はウサギのマスコットとハンカチ
どうやらハンカチを借りていたらしい
あなたが瞳をキラキラさせてウサギのマスコットを見た
そんな無邪気なところも可愛らしい
7人の笑い声が響く屋上。
果てしない青い空に紙吹雪が舞った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!