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おかしい
何かがおかしい
いつもと変わらない帰り道
いつも通り待っては付いてくるこの人
本当に何も変わり映えしてないんだけど
何だろうこの違和感
誰かに見られてるような,何となく
後をつけられてるような……
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どうしよう
憶測で物を言うのは好きじゃない
でも , どうしても拭えないこの違和感
言った所で流されるのが落ちだろう
だけど ……
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何かの間違いじゃないか
そんな表情を浮かべながら
当たりをキョロキョロと見始めた
私も立ちどまり振り返っては確認したけど
やっぱりそこには誰もいなくて
その内気の所為なんじゃないかと
思うようになって来た
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私が感じた視線が
もし、人とかじゃなくて
その類のものだとしたら …
そう考えただけて鳥肌が立つ
どうしよう , 本気で寝れないかも
うわぁ … 最悪だ
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予想外の返しに
不覚にもときめいてしまった
いやいや , 違う 。違うぞ私
この人は何も考えてない
考えてないんだ
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そして今日も同じように
お互いに家路に着いた
スマホの画面に彼の通話画面を映す
本当は今でも怖い
一人暮らしだと尚更で
あんな話,気にしなくていいのに
霊とか得体の知れないもの
信じてるわけじゃないのに
なんで私はこんなに怖がってるんだろう
でも、あの人に電話する勇気もない
だいたいこんな遅くに電話なんて
迷惑極まりないよね……
画面を閉じるとデスクライトの明かりだけつけて
眠りについた
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。