気づけばもう辺りは暗くなっていて
7時を優に超えていたことに驚いた
帰り道 , 暗い路地をひたすら歩く
エマ , 大丈夫かな ……
実家暮らしだし悪いことしちゃったな
お兄ちゃんってどんな人だろ
エマ , ハーフだし綺麗だから
きっとお兄ちゃんもかっこいいんだろうな ……
それにしてもこの時間帯は妙に暗くて
少し怖い ……
きっと今日はもう居ないよね。あの人
そう思いながらいつもの歩道に差し掛かる
・
嘘でしょ ?!
何時もより2時間近く帰るのが遅くなったのに
もしかしてこれ
ずっと待っててくれてたの ?!
・
いや待て。なぜ私が謝る必要がある。
・
・
・
私の言葉に表情が曇った
どうしよう
なんかちょっと怖い
・
・
・
なんなんだこの人 !!
何でそんなに詮索されなきゃいけないの ??
身内でも彼氏でもないのに
・
・
しばらく沈黙が続き,張り詰めた空気が流れる
・
強ばっていた雰囲気が解けると
いつも通りの彼に戻った事に
思わず拍子抜けした
・
・
・
・
高校に入ってすぐ , 私は
祖父母の経営しているマンションで
一人暮らしをし始めた
本当は実家から通っても良かったんだけど
祖父母のマンションからの方が近いし
何せ一人暮らしをしてみたかったから
仕事が忙しい父に頼み込み
今こうして一人暮らしさせてもらっている
……でも,何故それを彼が知ってるんだ
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。