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 ̄ ̄ ̄ ̄ This Evening  ̄ ̄ ̄ ̄
久しぶりだな 、 この感覚 。
いつもの路地を歩く
一人で帰ることの方が長かったのに
いつの間にか、彼が隣にいることに
慣れてしまっていた
そう言えばずっと喋ってたなぁあの人
だからなのか 、静まり返ったこの環境が
凄く寂しい ……
って言うか私はなんでさっきから
森本さんの事ばかり考えてるんだろう
そんな自分に少し鳥肌が立つ
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後ろから聞き覚えのある
甲高い声が私の名前を呼んだ
振り返るとそこには彼女が …
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一瞬残念そうな顔をした彼女が
再び戻した笑顔に
とてつもない違和感を感じ
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私に紹介したい人
一体誰なんだろう
よくわからないけど
なんとなく断った方がいい気がした
正確には 、 これ以上面倒事に
巻き込まれたくなかっただけなんだけど
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なんで私なんかに紹介したいんだろう
彼女の意図が解らず
その必死さに少し引いてしまう
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少し合間が開くと
彼女の表情が一瞬にして
冷たくなり
その背後を何人もの
素行の悪そうな男性たちが出てきては
私と彼女を取り囲み始めた
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逃げようにも逃げられない
この状態で彼女が口を開き
周りを取り囲んでいるやつらと
繋がっている事に気づいた
どうしよう 、このままじゃ私 ……
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その言葉と同時に
背後から誰かが私を引き寄せると
口元に布を押し当てられ
直ぐに意識が遠のいていった
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!