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第5話

四話
 その神社の目の前に行くと、赤い花が何個も咲いていた。その花の花びら一枚一枚が血のように真っ赤で、甘酸っぱい匂いに誘われそうになる。
こ、この匂いは……
 僕は女の子が言っていたことを思い出し、口と鼻をおさえた。

 しかしすでに時は遅し。その場で僕は倒れてしまった。
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 目がさめると、そこはさっき気を失った場所の近くだった。上を見上げると、青々とした緑の葉がザワザワとなびいている。

 どうやら何者かが木陰に連れてきたようだ。
男の子
あ、起きた?
だ、誰?
 不意に目の前から声をかけられて、びくりと鳥肌がたった。

 目の前には茶色い前髪をそろえたボブ刈りの少年が、赤い花を一本握りしめて立っている。
男の子
ごめんね。
急に現れたからびっくりしたでしょ?
え、ええと……その
男の子
そんなに驚かないでよ。
何も悪いことはしないからさ
 少年は微笑みを浮かべている。とても優しそうな笑みだったので、知らぬ間に胸をで下ろしていた。

 しかし少年が持っている赤い花を見ると、現実に引き戻されていった。
男の子
ねえ。
もしかしてこの「忘れ花」を見るために来たの?
うん、そうだよ。
この花はひとつだけ記憶を消すことができるって聞いたから、僕の忘れたい記憶も消えるのかなって思ってね
 僕は慎重かつ丁寧な口調で、学校中に広まっていた噂話を投げかける。それを聞いていた少年の笑みが一瞬途絶えたが、すぐさま笑顔を作る。
男の子
へえ、やっぱりそうなんだ。
男の子
じゃあ、匂いを嗅いで忘れたい思い出を思い出してみてよ。
そうすればその思い出は消えて無くなるからね
 少年は早口でそう言い、握りしめていた「忘れ花」を渡してきた。しかし渡す手はブルブルと震えていて、おぼつかない。
(よっぽど人に渡すのが嫌なのかな?)
 そんな浅はかな思いで受け取り、僕はその花の蜜の匂いを嗅いだ。やはりさっきと同じ甘酸っぱい香りが、鼻いっぱいに広がっていく。

 そして祐介が倒れたあの記憶を呼び起こし、僕はそのままの状態を維持する。