第6話

再会、そして別れ
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2018/05/19 14:06
「あ、あの...!せ、せいくん...!」
彼女だ。目の前から走ってくる。なんで、なんで彼女に会えたことを喜んでいる僕がいるんだ。あんなに悲しませたのになんで今、目の前に現れたんだ。もう...

「意味わかんねぇよ...。」
「...え?」
すぐさま我に返る。つい口に出して言ってしまった。彼女に目をやる。驚いて、泣きそうな顔をしてた。まただ。また彼女を悲しませてしまった。
「ご、ごめん...。たまたま見かけて走ってきちゃった...。迷惑だったかな...?」
「いや、別に迷惑とか思ってない...けど...。」

やっぱり気になる。なんであんな悲しい思いさせてしまったのに僕を見かけて走ってくるなんて。また僕は君を悲しませてしまうかもしれないのに。記憶のせいで。もしくは、僕の態度や言葉で。
昔から女の子との付き合いは苦手だった。いちいち人の顔色伺って、無理やり笑顔つくってまで一緒にいようとして。だから僕が「一緒にいなくていいよ。」って気遣って言ってあげたら大泣きされて、先生とか親まで呼んで...。でも、そんな僕が唯一一緒にいたいと思えた子が1人だけいた。そういえばこの時計台で話をしたような...。
ん?時計台...、すぐに時計を見る。

「やばい、すぐに空港に行かないと飛行機乗り遅れる!!!!! えと、わざわざ来てくれたのありがたいけどごめん!もう行かないと!」
「え!?え、え、あ、じゃあこれだけ持ってって!何も言わないで受け取って!」
彼女が僕に1つの封筒を差し出した。なにこれ?と言おうとしたらすぐに彼女に遮られた。

「急がないとなんでしょ!?だったらこれ気にしないでいいから早く!何時の便か知らないけど乗り遅れたらやばいんでしょ!?ここから空港まで1時間くらいかかるよ!ほら、もう行きな!」
そんな彼女におされ僕は空港へ向かった。振り返ろうとしたが、彼女が「早く行け」って目で見てきてたからすぐに顔を戻した。封筒の中身が気になるけどそれはあとあと。急がないと...!

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