〜 5分後 〜
幸輝が翼を連れて戻ってきた。
翼はまだ少し俯いて顔色が悪い。
これには聞いていた武藤先生と草薙先生も
かなり驚いた顔をしている。
すると、草薙先生が小さい声で…
…と呟いたのだ。
どうやら、私以外には聞こえなかったらしい
まさか、草薙先生が少女を殺して、少女の
ことを知ってる翼を口封じしようとしているんじゃ…!?
翼がボソボソと呟いている。
すると、幸輝がその背中を叩き…
武藤先生が「まったく…」と言い、それを聞いた幸輝が少し笑う。
確か、美術資料室は生徒は入れない。
学校に関する大切な資料があると言うことで先生しか出入りが出来ない。
野球部の倉庫から金属バットを取り出すと、
私達は美術資料室に向かう。
美術資料室は四階の一番奥にあり、ここからはかなり遠い。だから、気を付けないと…
歩いている途中、翼の暗い雰囲気が少しでも明るくなればと思い、話しかけてみた。
翼が「可愛い」という言葉を使う日が来るなんて思ってもいなかった。
さっきより少し翼が元気になり、話しながら歩いていると…
顔を上げるとドアがある。そのプレートには
『美術資料室』と刻まれていた…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。