そこからは生徒がはしゃぎながら帰って行く
私達も荷物をまとめ、帰り道を歩いていた。
すると、突然…
翼が踵を返して学校へ向かった。
そう言って、幸輝も追いかけてしまった。
結依と顔を合わし、笑うと私達は歩き出す。
そして、その日はスグに寝ることが出来た…
〜 翌朝 〜
1階からお母さんの声が聞こえる。
あんなことがあったから、休みだと思った…
時計を見ると、7時半。
結依が来るのは7時45分。
私は大急ぎで用意をする。
用意をし終わったと同時にインターホンが
鳴った。
玄関で靴を履き、外に出ると3人がいた。
いつも通りに挨拶をする二人。
そう言った、翼は笑っていた。
笑った時に見える翼の八重歯を凄い久しぶりに私は見た。
少しふてくされたように言う翼。けど…
笑顔で本音を言うと、翼の顔が赤くなった。
私も自分の言ったことに気付き赤くなる。
そう言って、歩き出した通学路。
私は歩きながら、翼の手を見ていた。
翼は幸輝とわーわー喋っている。
少しだけ…少しだけ……
そう思い、翼の手に触れてみる。
すると、会話はスラスラとしているが、確実に触った手がピクっと動いた。
うっ…駄目かな…?
しかし、考えとは反対に翼は二人には気付かれないように私の手を握ってくれた。
そのまま、学校に着き分かれる。
そして、教室に一歩踏み込むと…
そういうなり、抱き着いてくる友咲。
え、友咲は確か……
友咲が生きているのも彼女のおかげかもね…
私の友咲が生き返ったことでいつも通りの
元気を取り戻すことが出来た。
友咲以外の犠牲者も全員が生き返っていた
らしく、学校内ではあの怪談話のことを口に
する生徒はいなくなっていた。
その日、帰宅部の翼は宣言通りに軽音部に
入部して同じ学年の人とバンドを組んだ。
そうして、いつも通りの生活に戻る。
しかし、まだ私は少女の正体が誰なのかを
知らなかった…
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。