第13話

雨の日に
533
2018/07/14 08:06
何故か、私は土砂降りの中立っていた。
雨は体を通り抜け地面へ吸い込まれていく。
一体ここは何処…?
辺りを見渡すとスグに何処かが分かる。
私達の家の近くの道だ。
すると、幼い女の子が歩いてくる。
黒い長髪に白いワンピース、手足は透き通るように白く細い。そして、裸足だった。
傘も差さずに歩いている彼女は勿論、全身が濡れていて長い髪の先から水が滴っている。
すると、後ろからやってきたのは男の子。
顔は少しモヤがかかって誰かは分からない。
男の子は少女より少し大きい…
男の子は靴を履いて傘を差している。
だが、かなり急いだのかズボンの裾はかなり濡れていた。
男の子が少女に話しかける。
私には声が聞こえないから何を話しているのかは全く分からない。
男の子が必死に何かを言っている。
少女は振り向き、男の子を見る。
その次に言った言葉は私の脳に響くように、
何回も繰り返された。
少女
…XXXの嘘つき。
そう言われた男の子はその場に膝をつく。
少女は前を向くとそのまま歩き出した。
少女はスマホを見ながら歩いている。
スマホから出る光が少女の顔を照らす。
少し前に行き、少女の顔を見る。
とても可愛らしくて美少女と呼ぶに相応しい顔をしていた。
しかし、今は少し哀しそうな表情をしてる。
スマホを覗き込むと杉崎高校のホームページが表示されている。
次に地図が出てくる。
そして、杉崎高校へと足を向けたのだ。
すると、突然私の目の前が真っ暗になる。
スグに明るくなると見えたのは…
首を絞められている少女の姿。
少女の首を絞めているのは男性。
部屋には大きな鏡と大きな時計がある。
男性は少女を鏡に押し付け首を絞めている。
少女は必死に抵抗しているが力が勝てない。
氷川桜
やめて!!
思わず、私は男性を殴ろうとするが私の拳は男性を通り抜けてしまった。
せめて、男性の顔を見たいところだったが、
モヤがかかって見えない。
少女は手を振り上げると、思いっきり男性の腕を引っ掻いた。男性の腕から血が流れ出し地面へと血が流れ落ちる。
その瞬間、更に男性は手に力を込めた。
すると、少女の腕は力が抜けたようにだらりと下がった。
この人がこの子を殺した…?
これは少女の記憶?それより…
私は視線を時計に移す。
氷川桜
少女が持っていたのは…
…あの時計の針だ。
時計の大きさからして針も大きいから少女が持っている大きさに似てる。それにデザインだって……
男性は少女の死体を置いて部屋を出る。
その瞬間、私は見た。
鏡に少女と全く同じ子が映っている。
その子は自分の死体を見つめている。
すると…
…黒い霧がその子を囲み込む。
その子は苦しそうな顔で頭を抑える。
そして、モヤが晴れると私達が見た白銀の髪を持つ、”鏡の中を駆け回る少女"へと姿を変えていた……
少女は鏡の中で時計に近付く。
時計のガラスを叩き割り、中から取ったのは
鋭く尖り光っている長針と短針。
時計の針を両手に軽く振り回している。
気に入ったのかは分からないが、針を時計に戻すと大きな時計の真正面に立つ。
そして、少女は不気味な笑みを浮かべた……

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