翼はあの事件以降、笑うように。
結依は頑張って人前で話すように。
幸輝は女子の気持ちが分かるようになった。
3人とも学校閉鎖が起こったあとと前では
明らかな変化を見せていた。
そして、月日が経ち…
〜2年後の春〜
3年生になった私達。
可愛い1年生が入学してくる。
私は陸上部の全国大会に出場し優勝。
結依は絵のコンクールで最優秀賞。
幸輝はサッカーのプロ候補。
翼はまさかのプロデビューをしていた。
メンバーのボーカルは鏡の中の少女だった。
テレビでは、仮面を被りギターを弾きながら歌っていた。確か名前は時透華鈴ちゃん。
入学式の次の日…
友咲が私の手を引き、1年生の廊下に向かう。
確か、A組になったとか誰かが言っていた。
天才美少女が鏡の中の少女だからなぁ…
1年生の廊下に着いた時、教室を覗いている
2年や3年は少なかった。何故かと言うと、
彼女は丁度呼び出されたのか、廊下に出て
来たところだったから。
A組から出て来た彼女が向かったのは、廊下の端で手招きをする翼と幸輝のところ。
なんとそのまま翼に抱き着いたのだ…
少し赤くなりながら、焦った顔の翼。
鈴華ちゃんが少し恥ずかしそうに私達の方に
向き、立つと元気よく挨拶をしてくれた。
衝撃事実に思わず、大声を出した。
苦笑い混じりに言う翼。
隣で笑っている透華ちゃんの口元には八重歯
が見えている。
あ、翼と同じだ…
そして、彼女は満面の笑顔でこう言った。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!