第11話

珍しい観客
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2018/07/11 07:08
すると、翼がギターを触っているのが視界に入った。
氷川桜
ん、翼ってギター弾けるの?
神田翼
まぁな、昔からギターは趣味で
よく弾いてた。
アンプに繋げると、チューニングを始めて、
そのまま弾き始める。
……想像以上に上手かった。
峰田幸輝
そんな上手かったのかw
氷川桜
いつくらいから始めたの?
神田翼
う〜ん、5年くらい前。
峰田幸輝
まぁまぁ、昔かぁ…
神田翼
おう。
次にみんなが一度は聞いたことがあるヒット曲を弾き始めた。
それからも暫く弾いていた。
すると、不意に先輩が口を開いた。
宍倉駆
…おや、珍しい観客だよ。
氷川桜
珍しい観客?
宍倉駆
ほら。
先輩が指したのは鏡。
まさかと思いながらも見ると…
……少女がピアノの上に座っていた。
峰田幸輝
う、嘘だろ…
氷川桜
少女が……
少女は完全に私達が気付いていることに気付いている。しかし、攻撃をしてこない。
宍倉駆
ね、どうしたの?
宍倉先輩が鏡に近付くと、少女は鏡に近付いてきた。宍倉先輩がしゃがみ目線を合わせて話を聞いている。
少女の顔は見えない。
しかし、攻撃する雰囲気は無かった。
宍倉駆
うんうん。
氷川桜
なんて言ってるんですか?
宍倉駆
そこのお兄さんの演奏が上手い
からもっと聴きたいって。
神田翼
勿論、いいぞ。
演奏が再開する、少女は立って聞いている。
〜10数分後〜
神田翼
こんくらいだな。
峰田幸輝
怖いほど上手いw
氷川桜
だね。
苦笑いを浮かべると…
パチパチパチ……
小さな拍手が聞こえてくる。
鏡を見ると、少女が小さな手を叩き拍手を
していた。
そして、少女は走り去った。
氷川桜
………何かさ。
黒崎結依
ん?
氷川桜
あの子ってさ、何か可哀想な子
だと思う。人を殺したのだって
きっと理由があると思う…
峰田幸輝
お、おう…
いきなり言ったからか、幸輝が引いてる。
それでも構わない。
氷川桜
…探そうよ。あの少女がこんな
ことになってしまった理由。
元は優しい子なんだから…
みんなは驚いた顔になっていたが、スグに
言ってくれた。
黒崎結依
うん!
神田翼
勿論、いいぞ。
峰田幸輝
おう!こうなったら全部を俺達
で解き明かしてしまおうぜ!
氷川桜
ありがと。
そんな私達を見て、駆は笑った。
宍倉駆
いいお友達だね。僕は8時から
12時までは音楽室にいるからさ
何か知りたいことがあったら、
来なよ。知ってる限りなら教え
てあげるよ。
氷川桜
ありがとうございます!
宍倉駆
あぁ、あとさ。気を付けてね。
ここから教室に帰るまでに襲わ
れないように、殺人女子生徒は
本当にいる。殺されたらその人
は植物人間状態になる…
神田翼
分かりました。気をつけます。
私達は先輩にお礼を言って、廊下に出る。
峰田幸輝
さぁ、無事に帰れるか…
黒崎結依
うぅ〜…怖いなぁ…
神田翼
さっさと行くぞ。
氷川桜
うん。
その時、廊下の一番奥から足音が聞こえた…

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