第10話

大先輩
506
2018/07/11 07:07
…やがて、白いオーブは1つの塊となり、
この杉崎高校の制服を着た男子生徒の形へと変わった。男子生徒はピアノを弾いている。
神田翼
……すいません。
翼が声をかけると男子生徒は手を止め、私達の方に体を向けた。
男子
…ごめんね、迷惑っていうこと
は分かっているんだ。
峰田幸輝
え?
男子
僕の…いや、毎晩鳴るピアノが
噂になってるでしょ?
神田翼
別に迷惑とかは思って無いっすけど…
そこで口を開いたのはビビリの結依だった
黒崎結依
とてもピアノがお上手ですね!
お名前、なんて言うんですか?
氷川桜
ゆ、結依…
男子生徒は驚いた表情になったが、スグに
笑顔になって教えてくれた。
聞くと、私達の大先輩ってことが分かった。
宍倉駆
僕は、宍倉駆。10年前に事故で
死んじゃったんだ…
氷川桜
そうなんですか…
宍倉駆
ピアノが好きで堪らなくてさ…
まだ弾きたいなって…
黒崎結依
私は宍倉先輩がいつでも弾いて
いいと思います!むしろ、私に
教えてください!
宍倉駆
!……勿論、いいよ。
少し体が透けている宍倉先輩はピアノの席を離れ、結依がそこに座る。
結依があそこまで話すのは初めて見た。
教えてもらってる結依の表情は嬉しそうで、教えてる宍倉先輩も表情が明るい。
二人ともピアノが好きってことがよく分かる
私達は結依が教えて貰うのが終わるまで、
音楽室内を漁っていた。
峰田幸輝
お!こんなところにマラカス!
吹部のマラカスを見つけた幸輝がそれを手に持って振り、遊んでいる。
翼も楽器を見ていた。
特にすることが無い私は結依が自主練をしている時に話しかけてみた。
氷川桜
…鏡の中の少女って先輩は知ってるんですか?
宍倉駆
あぁ…あの子か……
様子から知っているみたいだった。
宍倉駆
えっと…何て呼べばいいかな?
氷川桜
私は氷川桜です。向こうが峰本
幸輝と神田翼っていいます。
宍倉駆
じゃあ、桜ちゃん。桜ちゃんは
この地域にいた天才美少女って
知ってる?
氷川桜
聞いたことはありますけど…
宍倉先輩の言う天才美少女はここら辺の地域
ではかなり有名な子だった。
見たことはないが、とても美人な子だということはみんなが知っている。
文武両道で何をさせても上位の成績。
性格も優しくて、人より優れているからって高飛車にならず、理解出来るまで教えてくれるとてもいい性格をしているらしい。
確か…今は中2じゃないかな?
けど、ココ最近はその噂も途絶えていた。
宍倉駆
少女とその天才美少女は何らか
で繋がっていると思う。
氷川桜
え…ほ、本当ですか?
宍倉駆
うん、4年前の雨の日に少女は
現れるようなったけど…
氷川桜
けど…?
宍倉駆
…その日を境に天才美少女の話
は聞かなくなった。
氷川桜
じゃあ…
あれは10歳くらいの子。だとすると…
宍倉駆
もしかしたら、その天才美少女
があの少女の可能性もね……
氷川桜
そんな、どうして…
どうして、人を殺したりなんか……

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