すると、少女は鏡の中で自分の骨のところに行くと針をクロスさせた。
全員が鏡に注目する。
そう呟いている。
彼女が言葉を繰り返していると、骨が光り、
空中に浮いた。
そして、浮いた骨が少しずつ大きくなって
いき、ある程度の大きさになると全身の骨が
空中正しい位置に並べられ、全身骨格が
完成した。
全身骨格が出来ると、次に…
そう呟いた。
すると、骨だけの状態に光が浮かぶと内蔵が
現れ、筋肉が内蔵を覆っていく。
草薙先生と幸輝が見えないよう後ろを向く。
筋肉が全身を覆うと今度は皮が筋肉を覆っていく。そこで結依の意味が分かった。
勿論、骨だけだったから服なんか着てない。
皮が全身を覆い、最後に爪と髪が現れた。
4年間の分なのか髪は物凄く長い。
人間の形になると空中から落ち地面へ。
私はギリギリのところで抱え込んだ。
幸輝のパーカーを持って、結依はこっちに
来ると、少女の体に着させた。
やっぱり男子のだと少しサイズが大きく、
元から緩めのを着ていた幸輝のパーカーは
少女のお尻が隠れるくらいの大きさだった。
二人が振り返る。
予想通り、驚いた顔になっていた。
幸輝は顔が赤くなっている。
まぁ、これだとそうなるのは分かるよ…
少女は微笑むと鏡の中で針を時計に戻した。
すると、現実の時計が6時を示す。
自分の体に少女が触れる。
触れた途端に鏡の中から少女は消えた。
すると、私が抱えていた少女の体がピクリと
動いたのだ。
そして、静かに瞼を開いた。
掠れた元少女の声が静かな部屋に聞こえる。
地面に手をつくと立ち上がった。
涙を流しながら呟く元少女。
私も立ち上がる。
私達よりも一回り小さい彼女は裸足で血の
溜まる床を歩くと、翼の遺体の前で膝を
着いた。
そして、翼の体を引っ張る。
パーカーに血が着きながらも翼を壁にもたれ
かかるように座らせると、彼女は翼の上に
跨り、頭を両手で掴むと自分の額と合わせた
微笑みながら涙を流す彼女は美しかった。
呟き続けると、二人の周りを光が包み込む。
すると…
…翼の喉の切り裂かれた痕が塞がったのだ。
塞がったのを確認すると、彼女は離れる。
私は考えるだけで涙をまた流した。
立ち上がった彼女は振り向く。
そう言って、微笑む彼女。
そう言って、彼女は出て行った。
草薙先生と幸輝によって、翼が秘密の部屋
から運び出される。
私達もその後をついていった。
夜の10時頃…
私は思わず、翼に抱き締める。
そう呟くと翼が私を抱き締めてくれた。
すると外から大声が聞こえた。
ってね…
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!