第31話

奇跡
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2018/07/28 10:02
すると、少女は鏡の中で自分の骨のところに行くと針をクロスさせた。
全員が鏡に注目する。
少女
…時よ進め。全てを飛ばせ。
全てを忘れ、ただ時だけを…
そう呟いている。
峰田幸輝
何だ…?
彼女が言葉を繰り返していると、骨が光り、
空中に浮いた。
氷川桜
え…
そして、浮いた骨が少しずつ大きくなって
いき、ある程度の大きさになると全身の骨が
空中正しい位置に並べられ、全身骨格が
完成した。
全身骨格が出来ると、次に…
少女
…時よ戻れ。全てを遡れ…
大切な人との時間よ、嫌いな
ことよ、全ての時間を戻せ…
そう呟いた。
すると、骨だけの状態に光が浮かぶと内蔵が
現れ、筋肉が内蔵を覆っていく。
黒崎結依
ちょっ、く、草薙先生と幸輝君
はここからは見たら駄目だよ!
峰田幸輝
え?…あ、そういうことか。
草薙先生
分かってる。
草薙先生と幸輝が見えないよう後ろを向く。
筋肉が全身を覆うと今度は皮が筋肉を覆っていく。そこで結依の意味が分かった。
勿論、骨だけだったから服なんか着てない。
皮が全身を覆い、最後に爪と髪が現れた。
4年間の分なのか髪は物凄く長い。
人間の形になると空中から落ち地面へ。
私はギリギリのところで抱え込んだ。
黒崎結依
幸輝君!そのパーカー貸してもらってもいいかな?
峰田幸輝
ああ、いいぞ。
幸輝のパーカーを持って、結依はこっちに
来ると、少女の体に着させた。
やっぱり男子のだと少しサイズが大きく、
元から緩めのを着ていた幸輝のパーカーは
少女のお尻が隠れるくらいの大きさだった。
黒崎結依
幸輝君!武藤先生!もう大丈夫
ですよ!
二人が振り返る。
予想通り、驚いた顔になっていた。
峰田幸輝
お、俺のパーカー…
幸輝は顔が赤くなっている。
まぁ、これだとそうなるのは分かるよ…
草薙先生
ただの骨から体が出来るなんて
想像もしなかったな。
峰田幸輝
これが君…?
少女
うん、4年後の私。
少女は微笑むと鏡の中で針を時計に戻した。
すると、現実の時計が6時を示す。
少女
これで時は動き出すよ…
そして、私もやっと…
自分の体に少女が触れる。
触れた途端に鏡の中から少女は消えた。
すると、私が抱えていた少女の体がピクリと
動いたのだ。
そして、静かに瞼を開いた。
女子(元少女)
…や、っと……
掠れた元少女の声が静かな部屋に聞こえる。
地面に手をつくと立ち上がった。
女子(元少女)
物の感覚が…伝わる…っ…!
涙を流しながら呟く元少女。
峰田幸輝
マジかよ…
女子(元少女)
……。
私も立ち上がる。
私達よりも一回り小さい彼女は裸足で血の
溜まる床を歩くと、翼の遺体の前で膝を
着いた。
そして、翼の体を引っ張る。
女子(元少女)
…このパーカーは洗って返すので今はごめんなさい。
パーカーに血が着きながらも翼を壁にもたれ
かかるように座らせると、彼女は翼の上に
跨り、頭を両手で掴むと自分の額と合わせた
女子(元少女)
…時間よ戻れ。全てを遡れ。
大切な人との時間よ、嫌いなことよ、全ての時間を戻せ…
微笑みながら涙を流す彼女は美しかった。
呟き続けると、二人の周りを光が包み込む。
すると…
…翼の喉の切り裂かれた痕が塞がったのだ。
塞がったのを確認すると、彼女は離れる。
峰田幸輝
傷が…!
氷川桜
まさか!!!
私は考えるだけで涙をまた流した。
立ち上がった彼女は振り向く。
女子(元少女)
翼君は…生き返りますよ。
そう言って、微笑む彼女。
女子(元少女)
草薙さん、私にはまだしないと
いけないことがあります。今日
は寮の生徒も帰らすようにして
もらってもいいですか?
草薙先生
ああ、分かった。
女子(元少女)
では…
そう言って、彼女は出て行った。
草薙先生
神田が生き返って良かったな。
それじゃ、早く出ろ。この寮は
今日で終わりだ。
峰田幸輝
え、どうして?
草薙先生
俺が管理者をやめるから。
黒崎結依
え…
草薙先生
裕樹と同じところにいたくない
から寮の管理者をしてるわけで
俺は数学の教師免許ならある。
峰田幸輝
初耳なんだけど…
草薙先生
当たり前だろ、ほら、峰田。
そっち持て、神田を運び出す。
峰田幸輝
は、はい!!
草薙先生と幸輝によって、翼が秘密の部屋
から運び出される。
私達もその後をついていった。
夜の10時頃…
神田翼
ん……
氷川桜
翼!!!
私は思わず、翼に抱き締める。
神田翼
さ、桜?何で俺……
峰田幸輝
あの少女が生き返らせてくれた
んだ。
神田翼
そっか…
そう呟くと翼が私を抱き締めてくれた。
神田翼
みんな、無事で良かった…
すると外から大声が聞こえた。
男子
門が開いたぞー!!!!!
ってね…

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