第15話

告白
494
2018/07/15 22:48
探し続けるが、見つからなかった。
すると…
世良駿斗
お、氷川じゃ〜ん
教室に入って来たのは世良駿斗と取り巻きの
女子、宇海朱梨と野坂美幸。そして、駿斗の親友の小泉友也だった。
朱梨が扉に鍵を閉めながら入る。
私は不審に思い、思わず後退りをした。
氷川桜
な、何…
世良駿斗
探しているのはこれかな?
世良君が生徒手帳を手に持っている。
氷川桜
もしかして、私の…?
世良駿斗
ピンポーン♪
野坂美幸
駿斗は優しいから拾ってくれた
んだよ〜?
取ろうと、手を伸ばすと避けられた。
氷川桜
か、返してよ!!
世良駿斗
やだね、これさぁ…中を見たん
だけど。やっぱりそうなんだっ
たんだね。
宇海朱梨
ん?なになに?
世良駿斗
ほら、これ見てよ。
生徒手帳の最後のページを朱梨に見せてる。
宇海朱梨
わぁ!これ誰〜?もしかして、
桜ちゃん?ちっちゃいね!
世良駿斗
いや、こっち。
写真を指して話し続ける。
野坂美幸
誰それ?
宇海朱梨
…あ!わかったかも!
世良駿斗
ほんと、酷いよ〜…いつも僕は
氷川のことを見てたのにさ〜
氷川桜
え?
も、もしかして……
氷川桜
……私のこと好きなの?
世良駿斗
うん、そうだよ。
普段なら絶対にこんなことは聞けないが、
このときはすんなりと聞けた。
それに恥じらいも無く答える世良。
世良駿斗
だからさ…僕と付き合ってよ。
世良がジリジリと近付いてくる。
私はそのまま後退りを続け、遂に壁に背中がついてしまう。
これ以上後ろに行けない…!
世良駿斗
朱梨、美幸。
宇海朱梨
OK〜
野坂美幸
りょーかい。
朱梨と美幸に両腕を掴まれ身動きが取れないようにされた。
世良駿斗
友也は誰も入らないように。
小泉友也
ん。
小泉が扉の前に立つ。
まさか……
世良の意図に気付いた途端、青ざめる。
氷川桜
や、やめて!!
世良駿斗
ん〜?彼女になってくれるん
だったらやめてあげる。
そう言いながらどんどん顔を近付けてくる。
その途中、ノックが聞こえた。
コンコン…
世良駿斗
いい所なのに…はーい?
廊下から声が聞こえてくる。
黒崎結依
すいません、氷川さんいます?
その声は結依だった。
氷川桜
結依た ──
口を世良の手で塞がれる。
世良駿斗
あー、声的に隣のクラスの黒崎
さんかな?ごめんね、氷川なら
さっき出て行ったよ。
黒崎結依
あ、そうですか…作業中みたい
だったのにごめんなさい!
世良駿斗
いえいえ〜
結依がそう言うと、足音が離れて行った。
違うよ!!私はここにいるよ!!
既に恐怖が勝ち、声が出なかった。
世良が手を取り、再び顔を近付けてくる。
世良駿斗
もう一度言うけどさ、僕と付き合ってよ。
氷川桜
…い、やだ……
涙声で睨みながら言う。
世良駿斗
わぁ、怖い怖い。けど、そんな
ことももう時期言えなくなる。
少しでも前に出たら唇が触れるくらいに近付かれた。抵抗しても勝てない。
その瞬間、私は昔のことを思い出していた。

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