第27話

優しさ
477
2018/07/27 13:34
翼を見ると、私が床に置きっぱなしにしていた手鏡を美璃に向けていた。
首から血を噴いている美璃はそのまま後ろに倒れ、絶命。
私は嗚咽を漏らしながら泣いていた。
死が目の前にあった恐怖に怯えていた。
私は嗚咽を漏らしながら泣いていた。
死が目の前にあった恐怖に怯えていた。
同じ部屋に住んでいた友達に殺されかけた。
そんな、私を翼は抱き締めてくれた。
神田翼
桜、怖かったよな…
氷川桜
う"ん…っ…!
私が泣いている間、翼はずっと抱き締めてくれていて、私が咳き込めば背中をさすってくれた。
そして、私が泣き止んだ頃…
時計を見ると、17時を回っていた。
まぁ、外は相変わらずの真っ暗だけど…
氷川桜
あ、ありがとう…
神田翼
お、おう…
お互いに気まずい雰囲気が続く。
そりゃそうだよね、さっき美璃が…
神田翼
…なんかごめん。抱き締めたり
しちゃって…
氷川桜
あ、いやぁ、その…
言葉にされると恥ずかしくなるじゃん…
神田翼
顔、赤いぞ?
氷川桜
え…?
私の顔を覗き込み、翼が言う。
その近さに私の顔は更に赤みを増した。
私は慌てて顔を隠し、距離を取る。
神田翼
え、ちょっ…
驚いた声をあげる翼。
神田翼
…ね、桜。
氷川桜
な、何でしょうか…
神田翼
桜はさ…好きな人とかいる?
氷川桜
……いるよ。
神田翼
そっか…
翼は少し残念そうに返事をした。
私は翼の手を握り真剣な表情で見る。
神田翼
ど、どうした?
氷川桜
あ、あのねっ!…私はつ、翼の
ことが ───
神田翼
── 好きだ。
そう言って、腕を引かれ抱き締められる。
神田翼
そんなの女子に先言わせるとか
男らしくないだろ?
氷川桜
うん…私も好きだよ。
神田翼
ありがと…
顔色を伺おうと視線をあげると、目が合って
少し赤くなりながら翼が顔を背けた。
氷川桜
は、早く少女の謎を解こ!!
神田翼
そ、そうだな!!
恥ずかしさを誤魔化すように言うと、私は
ドアを開けた。
翼は美璃の机の中から包みを取り出すし、
私のあとについて出る。
すると……
峰田幸輝
青春だね〜w
氷川桜
ちょっ!?
黒崎結依
良いと思うよ〜!
神田翼
お前らなぁ!
幸輝がニヤニヤと笑い、結依はニコニコと
微笑んでいる。
峰田幸輝
よぉ!翼!かっこよかったぜ!
神田翼
うっせー!!
翼が赤くなりながら幸輝の頭を軽く叩く。
氷川桜
そ、そういえば、武藤先生は?
黒崎結依
秘密の部屋、私と幸輝君で見つけたからもういいです。って言って帰ってもらったよ!
氷川桜
え、見つけたの?
峰田幸輝
そうそう、桜が泣いている間に
二人で探し出した!
その言葉に思わず、私も幸輝を叩く。
峰田幸輝
いった!!!
氷川桜
幸輝はいつも一言余計なの。
峰田幸輝
はい、すいませんでした。
氷川桜
それで、秘密の部屋は何処?
黒崎結依
2階と3階の間の階段の途中!
氷川桜
…もうちょい、詳しく教えて?

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