翼を見ると、私が床に置きっぱなしにしていた手鏡を美璃に向けていた。
首から血を噴いている美璃はそのまま後ろに倒れ、絶命。
私は嗚咽を漏らしながら泣いていた。
死が目の前にあった恐怖に怯えていた。
私は嗚咽を漏らしながら泣いていた。
死が目の前にあった恐怖に怯えていた。
同じ部屋に住んでいた友達に殺されかけた。
そんな、私を翼は抱き締めてくれた。
私が泣いている間、翼はずっと抱き締めてくれていて、私が咳き込めば背中をさすってくれた。
そして、私が泣き止んだ頃…
時計を見ると、17時を回っていた。
まぁ、外は相変わらずの真っ暗だけど…
お互いに気まずい雰囲気が続く。
そりゃそうだよね、さっき美璃が…
言葉にされると恥ずかしくなるじゃん…
私の顔を覗き込み、翼が言う。
その近さに私の顔は更に赤みを増した。
私は慌てて顔を隠し、距離を取る。
驚いた声をあげる翼。
翼は少し残念そうに返事をした。
私は翼の手を握り真剣な表情で見る。
そう言って、腕を引かれ抱き締められる。
顔色を伺おうと視線をあげると、目が合って
少し赤くなりながら翼が顔を背けた。
恥ずかしさを誤魔化すように言うと、私は
ドアを開けた。
翼は美璃の机の中から包みを取り出すし、
私のあとについて出る。
すると……
幸輝がニヤニヤと笑い、結依はニコニコと
微笑んでいる。
翼が赤くなりながら幸輝の頭を軽く叩く。
その言葉に思わず、私も幸輝を叩く。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!