第27話

お風呂
801
2019/03/11 05:05
佐久間
佐久間
もーいいか?
千星
千星
だ、ダメですっ……!!




……今俺は風呂の中で片隅に縮こまり精神統一中……



大丈夫、動揺するな


温泉とか、ほら、そういう感覚で……


男の人の裸なんて見慣れてるじゃないか……!!


大丈夫、だいじょ……
佐久間
佐久間
入るぞ
千星
千星
ちょっ……まって……!!
佐久間
佐久間
嫌だ


ガラッ…………
佐久間
佐久間
…………お前入浴剤でお湯白くしやがったな


入ってきた瞬間

あからさまに佐久間さんの眉間にシワができた

千星
千星
っ……だ、って……


恥ずかしいっつってんじゃん……っ!

佐久間
佐久間
どうせ一回見てんだろ、お互い
千星
千星
そうは言っても……!!
佐久間
佐久間
男どうしだろ
千星
千星
そうですけど……!!

意識するなという方が難しい


だって俺は……その


佐久間さんに


抱かれてる……わけで……
千星
千星
っ……

今だって、心臓、うるさい


心臓だけじゃない


全身が、鼓動と一緒に脈打って


おかしくなる

佐久間
佐久間
ほら、そんなとこに縮こまってないで
こっち来いよ
千星
千星
あっ……

佐久間さんに腕を引っ張られ

俺はすっぽりと佐久間さんの胸におさまる


後ろから手を回されて

ホールド状態だ

千星
千星
さくっ……まさ……っ
佐久間
佐久間
ん?

佐久間さんが俺の肩に顎を乗っけてくる
千星
千星
っ……

髪の毛が肩にすれて

変な声が出そうになった
佐久間
佐久間
あ、噛み跡
千星
千星
へ?
佐久間
佐久間
やっぱすごいくっきりついてんな
千星
千星
あ……

前に会った時につけられた、2つの噛み跡

佐久間さんがそれを指でツーっとなぞる
千星
千星
んっ……


やばい、今度こそ変な声出た……


佐久間
佐久間
コレ、誰にも気づかれなかったか?
千星
千星
あ……はい、服着れば
隠れるくらいのとこだったので
佐久間
佐久間
ふーん……


『ふーん』って…

そんな他人事みたいに……!


これでも内心気づかれないがビクビクしてたんだ……っ


佐久間
佐久間
……なら今度は隠せない場所につけてやろうか
千星
千星
え……佐久間さん…何言って……
佐久間
佐久間
ここ、とか


そう言って佐久間さんは

指を首の根元から上の方へとずらしていく



その指が

耳から首の根元の真ん中くらいに来た時だった
千星
千星
ひぁっ……っ!


佐久間さんの歯が、首筋にあたった





────カリ……

千星
千星
っ……っんん……っっ!!


佐久間さんの歯が



俺の肌を傷つけていくのがわかる


千星
千星
いっ……た……


噛まれたところから


じんわりと熱が広がって


身体が、さっきより熱く感じる

佐久間
佐久間
は……ついた……

耳元で佐久間さんの低音が響く


その声に、体がビクリと脈打った







声の威力が半端じゃない

おさまったと思っていた鼓動の音が

また全身に伝染するのがわかる




こんなの絶対、佐久間さんに伝わるっ……

もう、気づいてるかも……っ







……もしかしたら

あえて、気づいてて、面白がってる……?



佐久間さんは

男に欲情するこんな俺を知って


呆れるかな







……でも、佐久間さんは

俺の事を、必要としてくれた









本当に……?









本心から……?









一瞬ふと思ったことなのに


考えれば考えるほど


泥沼にはまっていく
















佐久間さんの気持ちが








わからない……











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