夜はまだまだこれからで、
セミダブルのベッドを軋ませて鈍い音を立てながらまた甘い蜜を吸う。
彼は若かった。
俺の体力は既にHP2であるのに。
彼はまだ口をつけて離さなかった。
ようやく疲れてきたのか彼の勢いもそこそこになって煙草を加えてベランダへ向かった。
さっきまで俺を喰う勢いで襲ってきたのに飽きたら俺そっちのけで煙草に吸い付いた。
疲れて吐いたものの何か見捨てられた気がして寂しくなって彼の隣で煙草を加えていた。
「どうしたの、洋平さん。珍しいじゃん…」
「……けんすけこんなののどこがいいの。」
実は俺も煙草を吸っていた時期があった。
でも彼に出会ってから彼以上に夢中になれるものが無くてすっかり煙草なんて吸わなくなっていた。
むしろ苦手意識までこびりついてしまった。
「けんすけ、俺今日は煙草沢山吸うわ。」
「えっ、まじっすか。」
「うん、だけど今日でおしまいにしよう。」
「え、何が……」
「……煙草。」
「なんだ、よかった。てっきり洋平さんとの関係を終わりにするのかと、」
「そんなこと、俺が耐えられないよ。」
煙草を辞めることには何も口を出さなかった。それがちょっと嬉しかった。
でも経験した事があるから言うが、まじで煙草を辞めるのは大変な事だった。
けんすけのようなヘビーさんなら俺よりも数万倍大変なんだろうな。
「 洋平さん朝までこのままでいよう。」
「 夜は寒くなるからベッドの中でね。」
うん。と笑顔で頷いてもたれかかってきた。
大丈夫、2人なら乗り越えられる。
俺が辛い時は支えるし、いつでもそばにいる。そう思い初めて部屋の中でタバコを吸わせた。
俺も一緒に吸った。壁が黄色くなるまで、
退去費なんて気にしないで、俺たちはずっとこの部屋にいよう。












編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。