退院する前に私を刺した人のことを聞いた。
私を刺した人はママの言いなりだったらしい。
私を殺すと多額の報奨金がくると
ママがいい、私を殺そうとした。
ママは警察に逮捕された。
もちろん私を刺した人も。
ママは虐待の罪も重なって、
刑罰が重くなったらしい。
今は退院してシェアハウスに戻ってきた。
やっぱり家が落ち着くよ。
おっと、でも今この状況かなりやばい。
…私今、さとみくんと2人きりなんです。
こんな会話をしながら目も合わせずに
今日の動画撮影の準備を始める。
それで会話を断ち切ってしまうほど
2人とも子どもじゃない。
聞きたい、伝えたい、ぶちまけてしまいたい。
もう少し勇気があれば
この口を動かせたのに。
私の意気地無し←
結局そのまま、他愛ない話をして
部屋から出てしまった。
部屋を出ると、太陽が西に沈んでいて
東の方は薄暗い。
私の前をさとみくんが歩く。
私は何も言わず、彼の後ろを歩いていた。
いきなりさとみくんは何かを話し出した。
さっきの会話とはちょっと違う。
切羽詰まったような
何かを伝えようとしてるみたいな。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!
転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。