第14話

最初で最後のハグは意中の人と
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2021/11/07 08:36
この時間にはもう世界が崩れかけてきていた。
なんだか急に寒くなったり暑くなったりと気温の上がり下がりがおかしくなったりしている。
本当にこの世界が終わってしまうんだ…今更ながらにそのことを悟った私は、手を繋いでいる温真くんの手をぎゅっと、握りしめた。
また昨日のように涙が止まらなく出てきた。
温真
温真
どっ、どうしたの⁉︎
温真くん、やっぱり優しい。
その優しさでまた涙が止まらなくなってしまう。
ぎゅ。
恵奈
恵奈
体があったかい何かに包まれる。
耳元で優しい声が聞こえた。
温真
温真
大丈夫、大丈夫。
なんだか安心して、涙もますます止まらなくなった。
涙を手で拭い、今度は本当の笑顔になって言った。
恵奈
恵奈
ありがとう。






広場に着くと、もうみんなが集まっていた。
恵奈
恵奈
(みんな、早いなぁ…)
その時。
黒いパーカーからでた腕に冷たい綿毛のようなものが落ちてきた。
恵奈
恵奈
ん?なにこれ?
よくみてみると、雪の結晶の形をしている。
だが今は温かいしその雪のようなものが解ける様子もない。
周りも見てみると、みんなの肩や足にもそれが付着していた。
その雪のようなものは次第に多く降ってくるようになり辺りは銀世界に。
でもやっぱり気温を調べても高く、不思議だ。
クラスメイト4
クラスメイト4
なんだ?これ
クラスメイト2
クラスメイト2
みたことないな。
クラスメイト1
クラスメイト1
この雪解けない…
周りのみんなも騒ぎ出している。
やっぱり環境が崩れている。
私は情報を確認したく、震える手でカバンからスマホを取り出した。
スマホのニュースによると、地球はあと1時間で滅びるそうだ。
恵奈
恵奈
ウソ…夜中の12時だったはずなのに…
今日は絶対、温真くんに告白したい。
私には友達がいないから、告白以外することが無いので今回はそれが目当てで来たものだ。
ドッドッドッドッ…
体の奥で鼓動が高鳴っている。
自分が1時間後に死ぬ運命になっていて、それはもう変えられない事実。
自分の死ぬ時が分かっているのは体が浮くような違和感を覚える。
いつものように“ただ生きるだけ”の生活は送れない。
今日はシンデレラみたいに、一気に変わっていかないと。
「シンデレラみたいに」という口癖をモチベーションにして、気合を入れた。






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