帰り道。
まだ私の心臓は大きく跳ねていた。
紫色の空や優しい風の匂い。
いつもは普通に感じていた風景も、特別に感じる。
誰もいないはずの廊下に話しかけてしまうのは、昔からの癖だ。
いつものようにニュースを見ながら机に置かれていた、冷たいスープを温めて飲む。
私はこの時間がとても好きだった。
だが、つけっぱなしのテレビから信じられない言葉が私の耳に入ってきた。
話によると、環境汚染などが原因になっているらしい。
目から溢れる涙には、夕日が透けて見えていた。
こんな馬鹿みたいな話、信じたくも無い。
でも、でも信じなきゃいけないんだ…
うそ、これから温真くんと沢山話して、友達になって…そんな事すら出来ないの?
もう私には希望なんて物はないのかな…
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。