第6話

この世界はもう____
613
2021/11/07 07:58
帰り道。
まだ私の心臓は大きく跳ねていた。
紫色の空や優しい風の匂い。
いつもは普通に感じていた風景も、特別に感じる。
恵奈
恵奈
ただいま__
誰もいないはずの廊下に話しかけてしまうのは、昔からの癖だ。
いつものようにニュースを見ながら机に置かれていた、冷たいスープを温めて飲む。
恵奈
恵奈
ふぅ。
私はこの時間がとても好きだった。
だが、つけっぱなしのテレビから信じられない言葉が私の耳に入ってきた。
アナウンサー
速報です。
先程、〇〇博士の発表で「明日の夜中12時きっかり、地球が滅びる」ということが分かりました。
信じられないと思いますが、これは___
恵奈
恵奈
は…?
話によると、環境汚染などが原因になっているらしい。
恵奈
恵奈
そんな__
目から溢れる涙には、夕日が透けて見えていた。
こんな馬鹿みたいな話、信じたくも無い。
でも、でも信じなきゃいけないんだ…
恵奈
恵奈
せっかく、せっかく好きな人ができたのに_____
恵奈
恵奈
ありえない…
うそ、これから温真くんと沢山話して、友達になって…そんな事すら出来ないの?
もう私には希望なんて物はないのかな…

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