第2話

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2021/06/20 08:15
  薄闇に包まれた中の、静寂という音が聞こえる。
鼻と喉を通って、溜まった空気が肺を満たす。
ぼんやりと、次第にはっきりと視界が見えてくる。

自分がベッドの上にいる事を自覚して、グンと伸びをして、枕元のスマホを手探る。

“A.M 6時35分”

いつもと同じ。ぴったり。
一息ついて、体を起こして、また今日も一日が始まる。



伸びきったこの金髪は、シャンプーがもったいないと思いながらもすっかり放置状態。あと少しで腰まで届きそう。でも切るのはそれは、それでめんどくさい。
1LDKの、たった10畳分ほどの狭い部屋は、一人暮らしの女子高生が住んでいるとは思えないぐらい、何も無い。質素って言うべきなのか。まぁ、無駄にお金を使うよりはいい。ただでさえ、ギリギリなんだから。

朝食は、もう何年も食べていない。摂っても水だけ。おかげで今のところダイエットとは無縁の人生を送れているけれど。

最低限の服や化粧品は、決して高くはないがちゃんとバイトの稼ぎで買えている。
とりあえず着替えて、軽くメイクをして、髪をとかし、ワンショルダーの黒いバッグにスマホと財布を入れる。

早く出ないと、また見つかる·····。

足早にアパートを出て、バイト先勉強向かう。
やっと7時のチャイムが街中に響き渡った頃に、15歳の金髪カラコン野郎が私服でバイトへ行くなんて、ヤバいに決まってる。
自分でも今の世間には向いてないと、ちゃんと分かってはいる。けど、高校なんて行く暇があるなら、バイトで真面目に働いてる方がよっぽど時間の有効活用だ。



まだ人通りの少ない住宅地の道路。ふと足を止め、反対側の道から歩いてくる1人の黒い影が目に入って、途端に脇の路地へ走り出した。
見つかったら厄介だ。あのハンター····に捕まるわけには·····。

隣の大通りまで走って、ヒールサンダルを履いた足を止めた。と、その瞬間、背後から気配を感じて、バッと振り向いた。
映爾
わっ!
柏先生
爪が甘いぞ?お嬢さん

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