バイト先へ行くと、
2日前にバイト最終日だったはずの好きな人がいた。
!?
なぜ……いるの……
会えて嬉しいような、微妙な気持ちになった。
幸い、まだ私の存在には気づかず業務に集中していた好きな人に、少しだけちょっかいを出そうと思った。
後ろから、えいっ、と、
好きな人の両肩を、私の両手でぽんと軽く叩いた。
このスキンシップをしたのが、最初で最後かもしれないと思った。
好きな人は少しだけ驚いた様子で、後ろをうかがった。
私は「おはようございます」と少しだけ口元を上にあげて言った。
その声が少し震えてるのが分かった。
あれ、なんだ、私緊張してる……
好きな人はいつも通りのテンションで、
「おはようございます」と返事をしてくれた
。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!