好きな人の、好きなところは―
私が話しかけるとき、内容は愚痴であっても、とりあえず耳を傾けてくれる。
ふいに、無表情だったのに笑う目元とか。
私の名前を呼ぶ声とか、
シュッとした高い身長とか、思わず抱きしめたくなる後ろ姿とか、
わざわざ私のもとへ来てくれるところとか、
なんで来てくれたのかな?
後々考えると、私しか聞ける人がいなかったんじゃないかって思うけど、その時はそれでも嬉しいと感じてしまったんです。
嬉しいと、感じてしまうんです。
今も、ずっと、あなたのことを、あなたとの記憶を思い出しては切なくなるんです。
好きです、
ずっとずっと、
ずっと―
好きです―
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!