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第7話

喧嘩
──そんな、ミキ達を、遠くで見守る人がいた。
那津岡アカネ
那津岡アカネ
……音静、か
艶のある黒髪をかきあげれば、周囲にいた女子生徒が顔を赤くする。
漂う色香にあてられて、ふらつく者まででる始末だ。

だが、さしてそのことを気にする様子もない。


アカネの目にはいつだって。

ミキしかうつっていないのだから。
──
音静チヅル
音静チヅル
先輩せんぱーい、先輩のクラスはメイド喫茶やるって本当ですか?
栗原ミキ
栗原ミキ
うん。きちんと接客できるか不安だけどね
音静くんとばったり靴箱で会ったので、
一緒に帰ることにした。

すごい偶然だけど、一緒に帰るのは三日連続だ。
栗原ミキ
栗原ミキ
どうしてこんなに何回も会うんだろうね
高校と中学の校舎は離れているし、クラスのホームルームの長さもまちまちだ。

特定の人と三日連続で会うことになるとは思ってもいなかった。
音静チヅル
音静チヅル
運命……じゃないですかね?
悪戯っ子のような笑みを浮かべて、音静くんが私の側に寄る。

仄かに石鹸の匂いがした。
アカネと違って背がそんなに高くないので、顔がより近い。


美形に側に来られると、心臓がドキドキしてしまった。
音静チヅル
音静チヅル
先輩?
黙った私を不思議そうに見上げる音静くん。
音静チヅル
音静チヅル
顔が赤いですよ?
音静くんの手が額に触れた。

ひんやりしていて気持ちがいい。
だけど、男子耐性のない私は、触れたところがものすごく熱く感じて、ぎゅっと目をつぶってしまう。


ドキドキしておかしくなりそうだ。
心臓の音が聞こえてしまっていそうで──



ちゅ。



ふにゃりとした柔らかい感覚。
すぐに離れたけど、それは。


那津岡アカネ
那津岡アカネ
離れろよっ!
急にアカネが間に入ってきた。

目を開けば、そこにはアカネの大きな背中がある。
私を守るように立っているアカネの耳が、真っ赤に染まっていた。


音静チヅル
音静チヅル
もしかして、ずっと見張ってたんですか?
那津岡先輩……ですよね? 怖いなぁ
へらりと笑う音静くん。


私は、あまりの出来事に狼狽えていて、口をぱくぱくさせるだけ。
声が出なかった。

ただ、なんだか心臓がおかしくなりすぎて怖かったから。
目の前にあったアカネの制服をちょんとひっぱる。


あまり刺激しないように、そっとしたつもりだったけど、思ったよりも強く引っ張ってしまったのか、アカネはびくっとしてますます耳を赤くさせた。


顔は見えないけど、ものすごく赤くなっているんじゃないだろうか。
那津岡アカネ
那津岡アカネ
……お前、ミキの何だよ
音静チヅル
音静チヅル
なんでもありませんね。ただの後輩です
……今のところは
音静チヅル
音静チヅル
そういう先輩は?
那津岡アカネ
那津岡アカネ
俺は、ミキの幼馴染みだ
音静チヅル
音静チヅル
じゃあ恋人じゃないんですね。邪魔しないでください
二人の会話が刺々しい。
私の知らないところで、知らない話がされている。