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第11話

ある出来事ー②
「あんたがあたしの青春を壊したのよ!」

噛みつくような台詞は、今も耳にこびりついている。

「あんたが……あんたがあんたがあんたが! あたしの学園祭に来たから!」

近所のお姉さんと私は仲が良かった。
アカネとお姉さんと私。三人でよく遊んだものだ。

お姉さんは高校生で、私たちはまだ中学生だったから、お姉さんは大人っぽくて憧れていた。



だけど。

「ごめんなさい……」
「そういう! そういうところがずっと大嫌いだったっ! 男どもをその綺麗な顔で侍らせてっ! まさか年上にまで手を出すなんて!」


なぜ怒鳴り付けられているのかわからない。
嫌いだと言われて悲しくて、涙が出そうだった。

「あんたが来たから、あたしの好きだった男子も憧れの先輩も可愛がっていた後輩も……! みんなみんなあんたに惚れた! 最悪よ! あたしの青春を返してよ!」


お姉さんが手を振り上げた。
そのまま私に拳をおろそうとして──


「ほら! 今だって! 男に守られてばかりで!」

私を庇うように、アカネが立っていた。

「……」
「嫌い嫌い嫌い! あんたたちみたいに顔が整っているやつは大嫌い! 心の中であたしを嘲笑っているんでしょう? お守りを言いつけられてずっと嫌だった。ご近所さんだからってなんで一緒にいなくちゃいけないのよ! あたしはあんたたちの引き立て役じゃないのに!」


お姉さん。
すごく怒っている。
アカネも私も大嫌いだって。


「もう……嫌。なんで我慢ばかりしなくちゃいけないの? あんたたちなんて、事故にあっちゃえばいいんだ。ぐちゃぐちゃの顔になっちゃえ。大嫌い」


でも。私は。
優しいお姉さんのことが。


「私は大好きだよ。お姉さんとアカネと、三人で過ごした思い出があるもの」
「俺もだ。とても楽しかったから……」


「そういうところ、本当にバカよね」



冷めた声。

「あははははははははは! 楽しかった? よかったよかった、あたしも頑張って演技した甲斐があるよ! 言ったでしょう? あんたたちのことは会ったときから大嫌いだって!」



えん……ぎ。



大切な思い出が。
ガラガラと崩れ落ちていく。

目の前が真っ暗になっていくようだった。




「あんたたち、あたしの許可もなしに楽しい青春なんて送らないでね? わかってるよね? あんたたちのせいであたしの青春はめちゃくちゃなのに、なんであんたたちが幸せになるの? なれると思っているの? 一人の人生を……青春を……めちゃくちゃにして、ぐちゃぐちゃにして、それでまだのうのうと暮らせると思ったら大間違いだから!」

お姉さん、とまた。


声を出そうとして。
言葉は喉の奥で止まってしまう。


肉食獣のような瞳で、私達を睨み付け、お姉さんは高らかに笑った。



「あたしは、絶対、あんたたちを許さない!」





そして、お姉さんは。
思い出のたくさんこもった川に、身を投げた。