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第4話

久しぶりの会話
栗原ミキ
栗原ミキ
いいよ、別に
なんともないし
噂はきっとすぐに消える。
だって私とアカネじゃ釣り合わないから。

話さなければアカネの気まぐれだと思われるだろう。

あえて突き飛ばされたことは言わなかった。
心配をかけたくない、というよりは面倒くさい気持ちが勝ったのだ。
那津岡アカネ
那津岡アカネ
……そう、か
少し、寂しそうな笑顔。

いつからこいつは、こんな顔で笑うようになったのだろう。
昔は、もっと。もっと──
栗原ミキ
栗原ミキ
ミスターコン、出場するならそのシケた顔
どうにかした方がいいよ
もっと。
魅力的な。
太陽みたいな笑顔だったのに。

するりと出てきた言葉にアカネが目を見開く。

学校でのやや横暴で、カリスマ性のあるアカネはそこにはいない。
間抜けで凡庸な表情を浮かべた、幼馴染み。
まぁ顔が良いので、どんな表情をしようと様になってしまうけど。
那津岡アカネ
那津岡アカネ
ミスターコン…
那津岡アカネ
那津岡アカネ
あぁ、出場するから
その目をよく見開いて俺の勇姿を焼き付けとけよ
私のアドバイスなどなかったかのように、
にかっと笑うアカネ。

こういう、人の話を聞き流しても許してしまいたくなるような
イケメンの笑顔ってズルい。
私はため息をつき、肩を叩いてやった。
栗原ミキ
栗原ミキ
……はぁ。まぁ頑張ってね
ミスターコン。
私たちの学校で開催される中高一貫行事の一つ、学園祭のメインイベントである。
その名の通り、学校一のイケメンを選ぶといった催しで、よくあるミスコンとはまたちょっと違う方向性になっている。

因みに私やアカネは高校からの編入なので、学園祭がそもそも初めての参加になる。

ただ。
私は勿論、そういった青春系のイベントの類いを毛嫌いしている為、まともに参加するつもりはない。最低限の協力はするし、約束した以上ミスターコンの結果は確認しようと思うが、それ以上を求められては困る。
那津岡アカネ
那津岡アカネ
ミスコンがあればミキの優勝だろうけどな
栗原ミキ
栗原ミキ
いや、無理だと思うよ!?
幼馴染み補正入ってるよ!私はそんな美人じゃない!
ブス……まではないと信じたい。
中の中の顔である。

自分の顔に不満はないが、ミスコンに出場するレベルでないことは明らかだった。
那津岡アカネ
那津岡アカネ
……そうか?
アカネは不思議だという顔をして、また笑った。
栗原ミキ
栗原ミキ
だから、その笑い方……
那津岡アカネ
那津岡アカネ
ん?
作り笑顔なのは私にははっきりとわかるから。
そんな笑い方しないでよと言いたかった。

でも。

笑えもしない自分に気づいて何も言えなくなる。


アカネはまだ、前に進んでいる。
その笑顔は作り物だけど、また笑うことができるようになっている。
私とは違う。

前を向くことを拒んだ私とは、違うのだ。
久しぶりの会話は昔を思い出させて。
私はいつのまにか勘違いしていたのだろう。
アカネと私は仲間なのだと。

丸っきり違うのに。
栗原ミキ
栗原ミキ
ううん、なんでもない。
じゃあまた明日
那津岡アカネ
那津岡アカネ
あぁ、また明日
私は前を向くことはできないし
前を向くつもりもない。


青春なんてものはヘドが出るほど嫌いだし、
嫌いにしか、なれない。