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第1話

吹奏楽部
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2018/04/27 09:56
クソが…
と後ろから聞こえた気がした。
クソだなんて、汚い言葉。そういう言葉を使うやつほどクソなんだよ…
部長「点呼しまーす」

部員達が一斉に音楽室に集まる。

部長「金藤、琴橋、筧、佐倉………佐倉?佐倉!!」

「はっはい!!」
大変だ!!昨日夜遅くまで勉強していたせいで眠い!!


なんて言えばかっこいいのかな。ただ深夜番組が面白すぎて起きてただけだけど。
麻理「ちょっとどうしたの結衣!!ぼーっとするなんて笑」
麻理は私の親友。可愛くて外国人みたいな顔をしてるけど、気取らないし面白くて大好き。
「いやちょっとさ、昨日夜遅くまで勉強してたから…」

あ、ウソついた。

麻理「は?何言ってんの?結衣が夜遅くまで勉強してるって?ホントなら世界の終わりだね」

あ、ウソばれた。
部長「きりーつ!!これから今日の部活動を始めます。よろしくお願いします!」
部員「おなっしゃーす」
私、佐倉結衣が所属しているのは運動系文化部なんて言われる部活。
文化部は美術部とか技術部とかボードゲーム部とかもあるけれど、それと一緒にされちゃ大変失礼だ。
吹奏楽部。
運動部達には割とナメられやすいけど、腹筋も階段ダッシュも外周だってする。
バカにすんなって話だよ…
藤木「おい、佐倉」
こいつは藤木。パートが同じの同級生だけど、いつでも上から目線で自己中。
まあ控えめに言ってクソ。
「ん?何よ」
藤木「何よじゃねえよ。あと四日だぞ?ぼーっとしてる時間があったら早く練習しろ」
は?黙れよ。笑
私たちは四日後に吹奏楽部コンクールに出場する。あと四日しっかり練習しなきゃいけないのは分かってるけど、今からやろうとしてるじゃない…!!
「わかったわかった!!楽器準備するからちょっと待ってて!!」
藤木「早くしろよな」
ったく、むかつく奴だ。
楽器を準備するのにも時間がかかる。私はサックス担当だから金管と違ってリード※を付けなきゃいけないし、菅の数も多いからいつも金管に置いていかれる。
「藤木ー?準備出来たから教室行こ〜」
藤木「すまん、先言っててくれ」
なんなんだよ。早くしろって言ったのは藤木じゃん。
でも先生と話してるみたいだったから、もしかして説教…?
なんてのんきなこと考えながら、私は教室へ向かった。
※リードとは、楽器に用いられる薄片をいい、振動して音源となるもの。
木管楽器しか使わないもの

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