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第1話

Episode1
425
2024/02/29 08:09
ルプスside―――
5年前―――
ここ『超東京』は、大災害『IUS』によって
荒れ果てた地とされた。だが、嵐が過ぎ去った後、
急速に発足したブルーシールドによって、
壊滅状態だった街はコピー技術により元通りになった。市民IDさえ持っていれば、誰でもコピーできる。
そして旧型携帯電話の代わりには『DPD』が使われている。色々便利な世の中になったが、輩は続々出てくる。そんな奴らを正すのが俺たち六本木の用心棒、『ROWDYSHOGUN』。
俺たちは『プロテクト』というスキルを使って市民、
あるいは依頼者を守る。




今日は六本木でファイナル・ファクトと呼ばれる
コピーすることが出来ない『本物』がオークションに
かけられるらしい。俺たちはそのオークションに
参加する『マダム』を護衛するという任務のため、
オークション会場に来ている。
マダムが優雅にワインを飲んでいると、
入口から恰幅のいい男が入ってきた。
その男の傍らには鎖で繋がれた少女が
虚ろな瞳で立っていた。
ルプス≠川村壱馬
失礼。マダム。今入ってきた男は
どなたでしょう?
マダム
あぁ。彼ね。最近急にのし上がってきた
会社の社長よ。私ほど富豪って
訳でもないわ。
ルプス≠川村壱馬
そうですか…
マダム
でも急にのし上がってくるのって
すごい違和感あるの。最近の『超東京』
じゃ結局のところお金がないと出世
できないし…確かあの男は一般人から
社長になったはず…。それに
あれぐらいの儲けじゃ今回の
オークションには招待されないはず
だけど…。
マダム
何、彼のこと気になるの?
ルプス≠川村壱馬
いえいえ。お答え下さり、
ありがとうございます。
俺はそうマダムに一礼し、
インカムに小さな声で告げた。
ルプス≠川村壱馬
エイノット、傍らに少女がいる
男を調べてくれ。なんか怪しい。
エイノット≠鈴木昂秀
了解。
一言だけ返ってきて、
カタカタとパソコンのタイピングの
音が聞こえてきた。
数分後、エイノットから
先程の返事が返ってきた。
エイノット≠鈴木昂秀
社長でもなんでもないですねー。
色々と脱税してますし。
あと人身売買も。そこでお金儲けして、
市民IDも偽造し、どっかの社長に
なりすました。って感じ。
ルプス≠川村壱馬
そうか…。
エイノット≠鈴木昂秀
あと、傍らの少女は恐らく
金儲けの為に飼われたんだと。
詳しいことは書いてないですけど、
ファイナル・ファクトを持っていると
書かれてますねー。
ルプス≠川村壱馬
…!?
エイノット≠鈴木昂秀
今のところそれぐらいです。
ルプス≠川村壱馬
そうか、ありがとう。
恐らくあの男は招待券を
偽造し、今回のオークションに
やってきた。だが既にファイナル・ファクトを
持っているなら、何の目的で…?
すると俺の心を見透かしたように、
隣にいるベイリーが話しかけてきた。
ベイリー≠RIKU
あれだろ?簡単にコピーできる
ものよりかは、絶対にコピー
できない貴重なものを増やしたいん
じゃねえか?
さっきお前が言ってたじゃねぇか。
ルプス≠川村壱馬
…そうだな。
そんなことより集中しよう。
そろそろ商品が登場するぞ。
俺がそう言うとベイリーは頷き、
お互い集中する。
グスク≠与那嶺瑠唯
あ、ルプス〜?ちょっと良いかい?
さっきあの男の会話が聞こえてきたんだけど、あの男、この後息子たちもくるって言ってたよー。
ルプス≠川村壱馬
なるほど…ありがとうございます。
そう言った途端、商品が登場した。
マダムはブラックダイアモンドに夢中だ。
俺たちはより一層警戒を強めた。
その時、扉が開き若い男女が大人数で
入ってきた。見たところどこかの富豪の
御曹司といったところ…ということは
先程グスクさんが言っていた、
あの男の息子たちか…。
そう思っていたら、若い集団は
マダムの前を通りかかった。
おや?マダムではございませんか?
マダム
だめよ。ここでは身元を明かさない
というルールでしょう。
失礼いたしました。
男はそう言い、マダムの手に口付けをした。
マダム
緊張することはないわ。
リラックスしていきましょう。
マダムが彼の肩に手を置くと、
彼は不敵に笑い、その時彼の手が
陽炎のように揺らめいた。
ルプス≠川村壱馬
―――…っ
マダムに気づかれないように、
マダムのカバンから財布を取り出した。
鍛え上げられた俺の動体視力は
騙せんぞ。
ルプス≠川村壱馬
失礼。ここは紳士淑女の場です。
それとも貴方は招かれざる客でしょうか?
それでしたら出口までご案内しますが…
あぁ、すみません。
ところで入口で誰かの財布を
拾いました。持ち主に返して
あげて下さい。
男は何も無かったかのような顔で
俺にマダムの財布を渡してきた。
マダム以外からも『報酬』は得たのだろうか。
行くぞ。と彼は周りの仲間に目配せし、
出口に向かっていった。
ルプス≠川村壱馬
どうします?追いかけますか?
ハデス≠LIKIYA
いや、泳がせとけ。
会場内で騒ぎは起こすな。
後は俺たちに任せろ。
インカム越しにリーダーのハデスさんの
声を聞き、俺とベイリーは安堵する。
そこから少しするとあの若者たちを全員
捕らえたと同時に、マダムもブラックダイアモンド
を手に入れることが出来た。
マダム
欲しかったものが手に入って嬉しいわ。
司会者
それはそれは!
ですが、誰かに奪われるかもしれません…
マダム
えぇ、そうなったらどうなるの?
ハデス≠LIKIYA
その時はご心配なく。
ハデスさんの声が響き、
ROWDY SHOGUN の皆が縛られた先程の若者たちを
連れてステージに上がって行った。そこに俺とベイリーも呼ばれ上がって行った。
ハデス≠LIKIYA
この会場にいる皆様は我々が
お守りします!
頼もしい護衛に客は歓声を上げる。
その時、エイノットから通信が入った。
エイノット≠鈴木昂秀
大変だみんな!!
嵐だ!嵐が来る!
ルプス≠川村壱馬
なんだって!?予測出来なかったのか!?
ジョー≠龍
六本木だけに発生したんだ!
5分後に衝突する!みんな警戒して!
ハデス≠LIKIYA
全員プロテクトを全開にしろ。
お客様と商品には傷1つつけるな。
リーダーの一言で全員がプロテクトを解放した。
そしてその秒後、屋敷に嵐が突撃した。
強い揺れに襲われ、屋敷の電気がすべて落ちた。
客は口々に悲鳴を上げるが、数分後には揺れも収まり、停電も治った。
ルプス≠川村壱馬
…よし。…?
商品の方に目を向けると、展示されていたファイナル・ファクトの1つ『古書』にモザイクがかかっている。
その時、古書が消えて1枚のカードに変わった。
ルプス≠川村壱馬
なに…!?
ベイリー≠RIKU
MADJESTERS……
ハデス≠LIKIYA
覚えておいた方がいいかもな……
ルプス≠川村壱馬
……くそっ……
俺はカードを握りしめ、どこに向けたらいいのか
分からない敵意を中に投げた。オークションは
中止となり、客が帰路についていると、出口の方
から怒鳴り声が聞こえてきた。
なんで出れないんだよ!!!
オークション開催者
すみません。お客様の招待状が、
コピー技術により偽造されたものだと
言うことが解析されたため…
ふざけんな!!!
俺はコピーなんかしてねぇ!!!
オークション開催者
しかし、コピー技術の跡があるんですよ…
知らねえっつてんだろ!!
ルプス≠川村壱馬
そこまでにしたらどうですか。
あぁ!?なんだテメェ!!
ルプス≠川村壱馬
ROWDY SHOGUN だ。
あんた、株式会社uSの社長だよな。
お前を脱税及び人身売買の加担等の罪で
ブルーシールドに引き渡す。
なっ……!?なぜそれを…!?
俺はエイノットからDPDで送られてきた写真を
社長に見せる。
ルプス≠川村壱馬
これ、あんただよな?
―――っ…!?!?
そこに写っているのは、社長が取引をしている所だった。そして、あの少女も写っている。恐らくあの少女の取り引きだろう。
ハデス≠LIKIYA
ここじゃあれだからよ、
直接ブルーシールドに行くぞ。
あと、お前の息子たちもな。
…っ!くそっ!!お前がいなけりゃ!!!
お前さえいなけりゃ!こんな事には…!
あなた

ひっ……!ご、ごめんなさい…、ごめんなさい…、

くそがっ!
男は少女に怒りをぶつけた。
少女は頭を抱え込み、ただ殴る蹴るの暴力に
耐えるだけだった。見てられない。
そう思った時、少女の体から赤い光が
放った。
グスク≠与那嶺瑠唯
さすがに見過ごせないねぇ。
こんなか弱い女の子にそんな暴力なんて。
あなた

―――っ…

くそがぁぁぁぁぁぁあ!!!
男はそのまま先程捕らえた若者たちとともに、
ブルーシールドの本部に連れられていった。
もちろん、このオークションは表に出ている
ものではない。男はそこはわかっていたのか、
事情聴取の時はオークションのことは言わなかった
そうだ。

あの後、男からの暴力から解放された少女は
安心からなのか、そのまま倒れそうになったが、
グスクさんが倒れる寸前で支えていた。
少女は目から涙ではなく、きらきらと輝く花を
流しながら眠っていた。
グスク≠与那嶺瑠唯
どうする…?この子…。恐らくだけど…
ただの女の子では無いと思う…。
ベイリー≠RIKU
まぁ目から花流してるぐらいだしな…
ハデス≠LIKIYA
……この子が目を覚ますまで、うちで保護しよう。その後のことは目を覚ませてからだ。


六本木の16人の暴れん坊用心棒、
ROWDY SHOGUN と
1人の普通では無い女の子。
ここから物語が加速する―――。

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