菅原「じゃあ、そろそろ試合だから俺行くね。」
あなたのあなた「あ、はいっ…、その……頑張ってください。」
菅原「…ん、ありがとな」
そう言う菅原先輩は、やっぱり試合に出られないもどかしさからか、切ない笑みを浮かべながら体育館へ戻っていった。
伊達工「ゴーゴー レッツゴー レッツゴー 伊達工!」
伊達工「ゴーゴー レッツゴー レッツゴー 伊達工!」
主将「伊達工ー!ファイッ________」
部員「オーーッ!!」
会場の空気を一瞬で伊達工色に染めると、迫力のある選手たちが、コート周りのランニングを始める。
……日向くん、すっごいビビってるなぁ。…まぁ、気持ちは分かるけども。
と、烏野のアップも始まり、レシーブを繋げていく。
……東峰先輩、見るからに日向ほど怯えてはなさそうだけど。あの見た目からは想像できないくらいに怖がりというか、ビビりというか、
一人一人丁寧にレシーブを続ける様子を見ていると、ある選手が大声をあげながらレシーブし、その流れで横に一回転した。
西谷「っローリング!サンダーー!!アゲインッ!」
烏野のみんなが固まって、西谷先輩に注目するのが分かる。
西谷「へへっ…決まったぜ。」
ドヤ顔で、髪をかきあげるかのように顔を上げると、一気に烏野コート内が騒がしくなる。
田中「ノヤっさんナイスレシーブ!キレッキレじゃねぇか、技名以外はw」
西谷「っ技名もキレキレだろうが!!」
日向「教えてぇ!アゲイン教えてぇ!!」
影山「前のと何が違うんだ?」
月島「何あれ〜」
菅原「普通に拾えただろ笑」
澤村「また西谷は…」
東峰「コラ西谷。また大地に怒られるよ」
西谷「よっしゃー!心配する事なんかなんもねぇ!」
西谷先輩は腰に手を当てて仁王立ちすると、堂々とそう言い放った。
西谷「みんな、前だけ見てけよー!背中は、俺が守ってやるぜ。」
そう言って頼もしく歯を見せて笑うと、田中先輩、日向くん、影山くんが撃沈しているのが見えた。
隣の伊達工コートも、呆然と西谷先輩を見て「カッケー…」と呟いている。
凄い……。いつもの騒がしさが戻ってきた。
やっぱり、3月の伊達工との試合は、東峰先輩だけじゃなくて、2、3年生にとっても拭え切れない過去なんだろう。
けど、今この瞬間…西谷先輩の言葉ひとつで、烏野から緊張感とか固さが抜けた気がした。
________だからこそ、烏野は今日も大丈夫だ。
ピピーッ
伊達工サーブから試合が始まり、身体の大きくガタイがいい3年生らしき人が、強烈なサーブを打ち込む。
それを澤村先輩が綺麗に拾い、影山くんにボールが繋がれる。
影山「ナイスレシーブっ」
手を伸ばし、真っ直ぐの姿勢でセットをする影山くんのフォームは、さっきよりも磨きがかかっていて、直前までレフトかライトかどっちに上がるか、全然予測できなかつた。
ボールは走り込んできた日向くんにセットされる。が、伊達工ブロックが2枚しっかり付いてきて、日向くんも何とか穴をついて躱した。
あなたのあなた「あぶな……っ」
やっぱり、リードブロックはしつこくてめんどくさいんだよね…。まぁ、厄介さで言ったら天童さんの方がスゴいけども。
烏野の得点となり、もう一本影山くんのサーブとなる。
今度はコントロールが上手くいかず、リベロの真正面に打ってしまい、綺麗に拾われた。
そしてスパイクに繋がったボールを、今度は西谷先輩が体制を低くして飛び込んで、なんとかボールを上げる。
東峰「バック!」
田中先輩のアンダーから、オープンでレフトの東峰先輩にボールが渡る。
ドカッ
しかし、東峰先輩のスパイクは鉄壁2枚に阻まれて、ボールは烏野コートのネット付近に落ちる。
西谷「クソっ……旭さん、すんません!次は拾いますっ!!」
東峰「おう、頼む。でも次は決める!」
西谷先輩の肩を軽く叩いて、笑顔でそう言い切る東峰先輩は、何とも頼もしくて…
あなたのあなた「もう、ブロックにビビってる先輩なんかじゃないんだ…!」
おもわず強く自分の拳を握っていた。
そこからは、田中先輩も東峰先輩も、更には日向くんの普通の速攻もあの伊達工の7番に止められて、私は早くもハラハラしていた。
けど、対照的に影山くんは落ち着いたままで……、
あなたのあなた「〜もう!心臓に悪いから早く速攻だしてよっ!」
バコンッ!
その念が通じたかのように、次の攻撃は日向くんの超速攻がレフトから打ち付けられた。
ブロックだけじゃなく会場中も、一瞬日向くんたちのスピードに置いてけぼりきなり、ようやく攻撃が決まったと分かると会場がどよめいた。
みんな「うわぁぁぁあ!」
「なんだ今の!?」
「すげーーっ!!」
会場のど真ん中、向けられる歓声の中心には、キラッキラの笑顔でガッツポーズをする日向くんと、嬉しそうに日向くんを見る影山くんの姿があった。
これだよ、これ……!このまま点差突き放しちゃえ!
しかし、次のサーブはローテーションシステムで日向くんの番で、サーブをネットに引っ掛けると、すぐに西谷先輩と交代した。
その後は、点を取ったり取られたりを繰り返すが、また日向くんが前衛に上がってくると、西谷先輩のネットから離れたレシーブから、影山くんは強引に速攻をねじ込んだ。
追い討ちをかけるかのような速攻…、伊達工の選手も監督も、唖然としているようで堪らずタイムアウトを取った。
……………………………!作者より!…………………………
変な切れ方でごめんなさい🙏
けど、そろそら切らないと字数結構いっちゃうので…
試合の間は、プレーの様子の解説的なのが多いので、極力短くはしたいけど……要約が苦手な作者をお許しください。
伊達工戦、次で無理やりにでも終わらせるので!そこから、またちょっとlove要素がある…といいな、笑
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。