第74話

VS伊達工
3,983
2021/08/11 08:12


菅原「じゃあ、そろそろ試合だから俺行くね。」


あなたのあなた「あ、はいっ…、その……頑張ってください。」


菅原「…ん、ありがとな」



そう言う菅原先輩は、やっぱり試合に出られないもどかしさからか、切ない笑みを浮かべながら体育館へ戻っていった。














伊達工「ゴーゴー レッツゴー レッツゴー 伊達工!」


伊達工「ゴーゴー レッツゴー レッツゴー 伊達工!」




主将「伊達工ー!ファイッ________」


部員「オーーッ!!」



会場の空気を一瞬で伊達工色に染めると、迫力のある選手たちが、コート周りのランニングを始める。



……日向くん、すっごいビビってるなぁ。…まぁ、気持ちは分かるけども。






と、烏野のアップも始まり、レシーブを繋げていく。



……東峰先輩、見るからに日向ほど怯えてはなさそうだけど。あの見た目からは想像できないくらいに怖がりというか、ビビりというか、





一人一人丁寧にレシーブを続ける様子を見ていると、ある選手が大声をあげながらレシーブし、その流れで横に一回転した。





西谷「っローリング!サンダーー!!アゲインッ!」







烏野のみんなが固まって、西谷先輩に注目するのが分かる。



西谷「へへっ…決まったぜ。」



ドヤ顔で、髪をかきあげるかのように顔を上げると、一気に烏野コート内が騒がしくなる。


田中「ノヤっさんナイスレシーブ!キレッキレじゃねぇか、技名以外はw」


西谷「っ技名もキレキレだろうが!!」


日向「教えてぇ!アゲイン教えてぇ!!」


影山「前のと何が違うんだ?」

月島「何あれ〜」

菅原「普通に拾えただろ笑」

澤村「また西谷は…」

東峰「コラ西谷。また大地に怒られるよ」



西谷「よっしゃー!心配する事なんかなんもねぇ!」


西谷先輩は腰に手を当てて仁王立ちすると、堂々とそう言い放った。



西谷「みんな、前だけ見てけよー!背中は、俺が守ってやるぜ。」



そう言って頼もしく歯を見せて笑うと、田中先輩、日向くん、影山くんが撃沈しているのが見えた。


隣の伊達工コートも、呆然と西谷先輩を見て「カッケー…」と呟いている。






凄い……。いつもの騒がしさが戻ってきた。




やっぱり、3月の伊達工との試合は、東峰先輩だけじゃなくて、2、3年生にとっても拭え切れない過去なんだろう。



けど、今この瞬間…西谷先輩の言葉ひとつで、烏野から緊張感とか固さが抜けた気がした。






________だからこそ、烏野は今日も大丈夫だ。










ピピーッ




伊達工サーブから試合が始まり、身体の大きくガタイがいい3年生らしき人が、強烈なサーブを打ち込む。



それを澤村先輩が綺麗に拾い、影山くんにボールが繋がれる。


影山「ナイスレシーブっ」



手を伸ばし、真っ直ぐの姿勢でセットをする影山くんのフォームは、さっきよりも磨きがかかっていて、直前までレフトかライトかどっちに上がるか、全然予測できなかつた。





ボールは走り込んできた日向くんにセットされる。が、伊達工ブロックが2枚しっかり付いてきて、日向くんも何とか穴をついて躱した。



あなたのあなた「あぶな……っ」





やっぱり、リードブロックはしつこくてめんどくさいんだよね…。まぁ、厄介さで言ったら天童さんの方がスゴいけども。






烏野の得点となり、もう一本影山くんのサーブとなる。



今度はコントロールが上手くいかず、リベロの真正面に打ってしまい、綺麗に拾われた。



そしてスパイクに繋がったボールを、今度は西谷先輩が体制を低くして飛び込んで、なんとかボールを上げる。




東峰「バック!」



田中先輩のアンダーから、オープンでレフトの東峰先輩にボールが渡る。




ドカッ




しかし、東峰先輩のスパイクは鉄壁2枚に阻まれて、ボールは烏野コートのネット付近に落ちる。




西谷「クソっ……旭さん、すんません!次は拾いますっ!!」


東峰「おう、頼む。でも次は決める!」


西谷先輩の肩を軽く叩いて、笑顔でそう言い切る東峰先輩は、何とも頼もしくて…




あなたのあなた「もう、ブロックにビビってる先輩なんかじゃないんだ…!」



おもわず強く自分の拳を握っていた。





そこからは、田中先輩も東峰先輩も、更には日向くんの普通の速攻もあの伊達工の7番に止められて、私は早くもハラハラしていた。



けど、対照的に影山くんは落ち着いたままで……、




あなたのあなた「〜もう!心臓に悪いから早く速攻だしてよっ!」






バコンッ!






その念が通じたかのように、次の攻撃は日向くんの超速攻がレフトから打ち付けられた。




ブロックだけじゃなく会場中も、一瞬日向くんたちのスピードに置いてけぼりきなり、ようやく攻撃が決まったと分かると会場がどよめいた。


みんな「うわぁぁぁあ!」

   「なんだ今の!?」

   「すげーーっ!!」



会場のど真ん中、向けられる歓声の中心には、キラッキラの笑顔でガッツポーズをする日向くんと、嬉しそうに日向くんを見る影山くんの姿があった。




これだよ、これ……!このまま点差突き放しちゃえ!





しかし、次のサーブはローテーションシステムで日向くんの番で、サーブをネットに引っ掛けると、すぐに西谷先輩と交代した。




その後は、点を取ったり取られたりを繰り返すが、また日向くんが前衛に上がってくると、西谷先輩のネットから離れたレシーブから、影山くんは強引に速攻をねじ込んだ。




追い討ちをかけるかのような速攻…、伊達工の選手も監督も、唖然としているようで堪らずタイムアウトを取った。




















……………………………!作者より!…………………………





変な切れ方でごめんなさい🙏



けど、そろそら切らないと字数結構いっちゃうので…






試合の間は、プレーの様子の解説的なのが多いので、極力短くはしたいけど……要約が苦手な作者をお許しください。








伊達工戦、次で無理やりにでも終わらせるので!そこから、またちょっとlove要素がある…といいな、笑










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