「ね〜、テストどーだった??」
「やばい…、受験終わって遊びまくってたから…」
「これ絶対、親に怒られる奴やん!!!」
クラスメイトの騒がしい声が、遠くに聞こえる。
それくらい私の意識は、このプリントに集中していた。
……大丈夫。いつも通りやれたはずだ。
私は、震える手でそっと2つ折りにされたプリントを開く。
『 新入生歓迎テスト 結果』
白布あなた
国語 94点
数学 96点
英語 93点
社会 97点
理科 95点
合計 475点 学年総合順位 3位
あなた「よ、良かった〜…。」
なんとか、上位キープ…!これなら、親に文句を言われることもないだろう。
モブ男「ウチのクラスのトップ、白布さんだって!」
モブ男「委員長すげ〜っ、ガチの優等生じゃん」
モブ男「ってか、こうして見ると…横顔めっちゃ美人だよなぁ。」
モブ男「おいっ!!抜け駆けすんなよっ💢」
山口 「ツッキー、テストどうだった??」
月島 「…まぁ、いいんじゃないの。」
山口 「ツッキーのその余裕、羨ましい!!」
月島 「うるさい、山口。早く帰るよ。」
山口 「あ!今日部活ないから、ツッキー寄りたい所あるって…」
月島 「ここで言わなくていいから。…ほら、さっさと行くよ。」
山口 「あ!待ってよ、ツッキー!!」
隣の席の、月島くん達の会話を横目に、私はスクバにテストを詰め込んで、ポケットから取り出したスマホのLINE画面を開く。
肉かぁ…、リクエストはありがたいけど、大雑把過ぎるんだよなぁ〜。確か、冷蔵庫に豚肉があったはず………。
そう思ってスマホで『豚肉レシピ』と、検索してると、
モブ女「ねぇ、白布さんってここの問題分かった?」
クラスの女子が話しかけてきた。
あなた「あ、ここね。私もココは迷ってたよー。これね、そのグラフが……(以下解説略)」
モブ女「あぁ!ようやく分かった!!ありがとう〜昨日家に帰っても全然分かんなくてさー」
あなた「また、聞きたいトコあったら、いつでもいいよ」
モブ女「いいのっ!?」
喜ぶその子に「うん」と言ってニッコリしていると、後ろから、右肩を軽く叩かれた。
モブ男「なら、俺も質問いい??」
あなた「いいよ。どの問題?」
モブ男「白布さんって彼氏とかいるの?」
その男子は、私をニヤニヤと見つめながら、聞いてきた。
そんなに、人の恋バナって知りたいもんなのかなぁ…?私には、ちょっと理解できないかも。
あなた「そういう話は、お答えしかねます。」
モブ男「え〜」
あなた「え〜、じゃない。質問ないなら帰るよ。」
モブ男「あるある!!この英語とこさ……」
結局、クラスの子達の質問攻めを断り切れずに、学校を出たのは1時間後だった…。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。