物音の無い静かな空間で、時間が止まったように錯覚する。
でも、徐々に近づいてくる先輩の瞳が、時間が今も尚流れていることを告げている。
思わず目をぎゅっとつぶると、数秒間…いや、体感ではもっと長い時間が経った後________
あなたのあなた「痛っ……」
おでこにデコピンされる感覚があって、弾かれた所を手で押さえながら、顔を上げる。
菅原「……なーんてな。」
そう言って笑う先輩は、いつもの柔らかな笑みを浮かべると、そっと顔を離した。
菅原「白布さん、そこは目つぶっちゃダメ。他の男だったら、何されてるか分かんないよ?」
「ま、手出されないように俺も一緒に回るんだけどさ。」と菅原先輩は言葉を続ける。
なんだ…。巡回に行く前に男子に絡まれないよう、警告してくれるためにこんなことをしたのか……
そう考えると肩の力が一気に抜けて、私は「…はい」と小さな声で返した。
ピーンポーンパーンポーン…
放送「文化祭実行委員からのお知らせです。ただいまから11時30分から1時30分の、スタンプラリー第2部が始まります。
見つけるペアは全部で3つ。1つ目はアナとエルサのペア、2つ目は逃○中のハンターペア、3つ目はアリスと白うさぎのペアです。ぜひコンプリートしてみてください!」
放送が終わると、どちらからともなく視線を合わせる。
菅原「じゃあ、行くか。」
あなたのあなた「はい!」
そうして、私たちは人の賑わう声の方へと向かった。
女子「すみません〜!スタンプ押してもらってもいいですか〜?」
菅原「はい、お!これであと1つじゃん!頑張ってね笑」
女子「あ、ありがとうございます…///」
女子「やばっ!菅原先輩のうさ耳とか…///」
女子「写真撮ってもいいですか!?」
グイグイ迫る2年生の先輩に、菅原先輩は「いいよ」と優しく言う。
……こういう所なんだよなぁ。先輩、及川さんとは違って、素で優しいから。
女子たちは満足したのか「ありがとうございましたぁ!」とキャッキャと去っていった。
あなたのあなた「なんか…先輩に仕事させちゃって、すみません。」
菅原「全然いいよ笑 ってか俺は、コスプレしてもなんかバレてるし…」
あなたのあなた「先輩、モテモテですもんね笑」
笑いながらそう言うと、「いや、俺なんかより白布さんの方がモテてるでしょ〜?」と言われるから。
……え。先輩、モテてるって無自覚……?
そんなことを1人考えていると、
田中「あれ…、スガさんっすか!?」
すれ違った人混みの中に田中先輩がいて、向こうの方から菅原先輩に気づいたのか、声をかけた。
菅原「お〜、田中。ビラ配りか?」
田中「いや、…なんか西谷のクラスの宣伝の手伝いやらされてます。」
そう話していると、近くにいた人にビラを配り終わった西谷先輩も、こっちに近づいてきた。
西谷「スガさん、ちわーっす!」
菅原「おう、西谷も元気だな〜笑」
完全に私置いてけぼりで、…え、もしかして私って気づかれてない…?と1人悶々と考えていると、
菅原「ところで…田中、西谷。この子誰だか分かる?」
菅原先輩が、私の両肩にポンと手を置きながら聞いた。
西谷「………あ、!え、…白布さん!?」
田中「!ほんとだ!白布さんじゃんか!!」
あなたのあなた「あ…、えっと…お久しぶり(?)です」
何て言ったら分からなくて、とりあえずそう挨拶すると、2人は何故か目を輝かせていた。
田中「えぇ〜!全然気づかなかった!すげぇぜ…さすがノヤっさん!」
西谷「へへっ…まーな。」
得意げに鼻を擦る西谷と、煽てる田中先輩に、私はポロッと言葉が零れてしまう。
あなたのあなた「…やっぱり、こういう可愛い感じのジャンルの服、私じゃこの格好似合わないですかね……?」
2人の反応や、今までスタンプを押してきた1年生の反応で、自分だと気づかれなかったことにショックを重ねていた私は、2人にそう尋ねた。
…普段から真面目なイメージの私が、こんな可愛らしいコスプレしたところで________
田中「何言ってんだ!いつもの白布さんは…その…、“清楚”って感じだろ?でも、今は“女子”!っていうか…可愛らしいって感じなんじゃないか?」
西谷「確かに!普段より“女子”って感じだよな!」
2人がストレートに褒めてくれて、私は思わず口を開けてポカーンと呆然としていた。
菅原「お前らが照れずに女子を褒めるなんて、珍しいな。」
菅原先輩も驚いたようにそう言うと、田中先輩は「だって、白布さんは俺たちの後輩ですから!」とドヤ顔で言い放つ。
……後輩、?
西谷「龍の言う通りだぜ!清子さんの仕事手伝ってくれたり、大会だって見に来てくれたり…。バレー部助けてもらってばっかだし!笑」
菅原先輩も隣で笑いながら「確かにな、」と呟く。
田中「後輩なんだから、なんかに困ったら“先輩”を頼ること!…いいな?」
力強い言葉と頼もしい笑みに押され、思わず「はい…っ」と答えてしまった。
……………………………!作者より!…………………………
田中さんとノヤっさんの頼もしさよ……✨
2人って、思ってることしか言わないから、そのまっすぐな言葉が嬉しいよね〜☺️
はい!今日は作者が夏休み期間にハマっていた、除光液を使った転写の方法について、リクエストがあったのでご紹介させていただきます!
左が、コンビニのプリンターで画像を印刷したもの。右が紙に転写したもの。(私は光沢紙を使用。ファミマのコピー機にあるよ)
『画像 転写 除光液』とか調べると、プラ板に転写するやり方とか、よく出てくるからそれを参考にするのもアリ👍
まず、コピーした画像と台紙を重ねて、
クリアファイルの中に挟んで、
画像が印刷された方を上にして、そこへ除光液をかける。
あとは、ファイルで挟んで上から指で擦りつける。
指が摩擦で痛くなるぐらいやろう😊(←鬼)
1回ファイルから取り出して、完全に剥がしきらない程度に画像と台紙を剥がし、転写の具合を見る。
↓こんな感じ
色が薄い部分はよく擦らないと転写しないから、要注意!逆に色が濃い部分は簡単に転写できるよ!
しばらく放置して乾かす。その後、再度除光液をかけてファイルの上から擦り付ける。
で、いい感じに転写できた頃だな〜と思ったら、素早くファイルから取り出して、素早く丁寧に重なった画像の紙と台紙を剥がす
↑ゆっくりだったり、雑に剥がすと、綺麗に剥がしきれないから注意してね!
もちろん最初から上手くいかないし、私も作った分の1/3は失敗作だけど、慣れが重要だから、諦めずに作ってみてね!
↓失敗作(左がコピーした画像、右が転写した光沢紙)
真ん中のとか、もうビリビリになって、上手く剥がせなかった……😱
↓自信作
ちなみに、私は真ん中の右側の白布さんのカードをスマホのクリアケースに挟んで、常に推しとともにあります。
みんなもぜひ作ってみてね〜👋
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!