五色「白布さんの妹っ!?」
天童「工くん、名前聞いてなかったのネw」
体育館に五色くんのびっくりしたような大声が響き、天童さんはそんな五色くんの肩を励ますようにポンポンと叩く。
あなたのあなた「もー、朝、お兄ちゃん慌てすぎっ笑」
そんな2人にくるっと背を向けると、お兄ちゃんに笑いかけてお弁当を渡す。
瀬見「珍しいな。いつもだったらもっと怒ってるだろ?」
あなたのあなた「そりゃあ貴重な休日の時間が削られてムカッとはしましたけど…」
不思議そうな顔をする瀬見さんから視線を外すと、
迷いなく私の視線は五色くんに向けられた。
あなたのあなた「白鳥沢の未来のエースに会えましたから!今日は来て良かったです笑」
五色「っ!!////」
天童「ありゃまっ」
瀬見「……そりゃそうなるわ」
白布「…………………」
私の五色くんに向けて発した一言の後、
天童さんはニタニタしてるし、
瀬見さんは憐れむような同情するような目をしてるし、
お兄ちゃんは元からのしかめっ面を余計酷くさせた。
五色「…っ俺、頑張るよ!絶対エースになってみせる!!」
あなたのあなた「うん、楽しみにしてる…!」
牛島さんたちは今年で3年生、つまり来年からは今まで白鳥沢を引っ張ってくれた絶対的エースは居なくなってしまう。
でも、五色くんが居てくれるなら、安心だなぁ……
白布「今の五色の実力で、牛島さんの次に白鳥沢のエースになるなんて、10000年早いんだよ」
天童「まぁまぁ、賢二郎はそうカリカリしないのっwいいじゃん、将来的にも工と仲良くなっとかないと」
白布「俺は絶対に認めませんからっっ!!」
……牛島さんたちが引退してからのチームワーク、大丈夫だといいけど…。
休憩の終わりかけ。私が帰ると言うと、みんなもぞろぞろついてきた(練習始まりそうなのに…監督さん、ごめんなさい)
今度は牛島さんとも話せるといいなぁ…
瀬見「そういえば、今日のあなたのあなたのカッコ、いつもの応援の時よりなんかオシャレだよな」
瀬見さんは、別れ際の私をじっと眺めてそう言った。
天童「英太の私服と比べたら、誰だってオシャレだヨww」
瀬見「っ//あなたのあなたの前でそういうこと言うなっ!」
五色「どっか出かけるとこ?」
あなたのあなた「あ、いや……ついでに買い出しに行こうとして_____」
天童「そんなこと言っちゃって、ホントはデートなんじゃないの〜??」
白布「は?」
絶対零度よりも低く、鋭いお兄ちゃんの視線が私に注がれる。
あなたのあなた「っっ違いますから!!天童さん余計なこと言わないでっ!」
「それじゃあ失礼します!」と急いで頭を下げて、校門をダッシュで飛び出す。
白布「おいっ逃げんな!!」
だって、お兄ちゃんの誕プレ買いに行くなんて言ったら、サプライズじゃなくなるじゃんっ
も〜!天童さんが余計なこと言わなかったら、あのまま穏便に帰れたのに……
天童「ww後でLINEして聞いちゃお〜っと」
………なんか、嫌な予感がする…(テレパシー?)
電車に揺られた後、商業施設で賑わう市街で駅を降りる。
休日のお昼前ということもあり、駅前には待ち合わせを待つ男の人や女の人、はしゃぐ子供と手を繋ぐ親子などもいた。
あなたのあなた「………みんな楽しそう、」
慣れない街に戸惑いながら、スマホのマップを開いて、お目当てのショッピングモールを探していると、
男①「あれ〜?おねーさん、もしかして今1人?」
男②「人待ってるなら、その間俺たちと一緒に遊ばない?」
顔を上げると、金髪と淡い茶色の髪に染めた2人組の男の人たちに声をかけられていた。
あなたのあなた「あ…、1人なんで、特に誰も待ってないですけど、」
私がそう返すと、目の前の男の人たちは目をキラキラさせて、スマホを持っていた私の右手首を掴んだ。
あなたのあなた「え、ちょっ……」
男①「ならちょうどいいじゃん!!ね、1人だと寂しいっしょ?俺らが相手してやるから〜」
男②「おいおい、いくら何でも上から目線すぎだろっwごめんね〜」
とか言いつつ、私に掴まれた右手首はそのままで。
あなたのあなた「…とりあえず、行くとこあるんで離して貰えません?」
男①「なら、俺が案内してあげるから!ほら、どこか言ってみ?」
いい加減人の話を聞かず、スルーしてばっかのこの人たちにイライラし始めた頃______
??「あっ、いたいた〜!!やっぱり来てた!」
私の背後からまた男の人の声がする。
……もう、ナンパとか勘弁なんだけど
そう思って睨みながら振り返ると、見覚えのある人が私の両肩を掴み、グイッと自分の腕の中へ引きつけた。
私がその人の腕の中で首を後ろに回すと…、
あなたのあなた「!!お、及川さん……っ!?」
及川「ごめんごめん☆岩ちゃんからここって聞いて、俺も来ちゃった笑」
そう言うと、及川さんは私の肩を優しく掴み直して、くるっと私の正面を自分の胸に押し当てた。
及川「……俺がいるんで、早く退いて貰えません?」
今までに及川さんの口から聞いたことのない程の低い声に体を震わせると、及川さんはそれに気づいたのか、尚強く、でも優しく抱きしめた。
男2人「……ちぇっ」
そんな声を漏らしたと思えば、直後に走って去る足音が聞こえた。
及川「ふ〜っ、さすがにしつこい奴らだね〜。大丈夫だった?」
及川さんは私を解放すると、その余った腕の片方をポケットに入れて、優しい目で私をそっと見つめた。
あなたのあなた「はい、……すみません助けて頂いちゃって。」
及川「っていうか、俺のこと知ってるんだね!もしかしてファンの子かな?」
あなたのあなた「……いえ、大会で何度か見受けただけなので。」
及川「!もしかして、応援にも来てくれてたの〜!?ありがとう⸜(*ˊᗜˋ*)⸝」
……あんな、試合の妨害みたいな黄色い声上げるあの人らと一緒にされたくない…。
あなたのあなた「…じゃあ、私はこれで_______っ?」
この場から立ち去ろうとすると、再び右手首を掴まれる。
さっきのナンパ2人組と同じように目をキラキラさせて……
……なんか、嫌な予感する________
及川「ね、助けたお礼にちょっと付き合ってよ!」
_____なんで私、ナンパから助けて貰った人にナンパされてんの……?
…………………………!作者より!……………………………
え、長すぎん??
書きたいこと詰め込み過ぎて、こーなったの…。
ホントごめんね…m(_ _)m
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!