第70話

幼なじみとの再会
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2021/08/09 00:20



及川「やっほー!トビオちゃん、チビちゃん、元気に変人コンビやってる〜?」




場違いなほどに、明るくて気の抜けた声に思わず顔を向けると、先ほどこの声の主から逃げた、及川さんが笑顔を浮かべてピースをしていた。





変人コンビ……?…あ、あの速攻のことかな。


っていうか、烏野と青城って面識あったんだ…。



及川さんの後ろから手をベシっと叩く、黒髪短髪の選手を見て頼り甲斐を感じつつ、私はそっと席を立った。






…絡まれたらめんどくさいし、さっきので青城の一部の人に遭遇しちゃったし。



そんな言い訳を並べながら、私は飲み物を買おうとロビーの自販機へと向かった。












あなたのあなた「んー…どれにしよう。」



まぁ、無難にミルクティーでいっか。とボタンを押し、ガゴンと重みのある音が落ちてくる。



私は1口ミルクティーを飲んで、その甘さに浸っていると、後ろから「ねぇねぇ、」と声がした。




振り返ると、そこにはジャージを着た選手が2人。




男①「キミ可愛いね!1人で来たの?」


あなたのあなた「……そうですけど、」


男②「え〜!マジ!?じゃあじゃあ、今ヒマっしょ?」


そう言うなり、見ず知らずの人は私の手首を掴んだ。


あなたのあなた「っ、ヒマじゃないです!」


少し声を荒らげてしまいながら、思いっきり手を振り払うと、相手は何故か「ハハッ」と笑みを浮かべた。



男②「いいじゃん!どうせ応援っていったって、家族とかだろ?俺らこの間の大会ベスト8だったし、応援してってよ!」


男①「どうせ、ろくな高校じゃねぇだろ?」




お兄ちゃんたちをバカにされて、私も内心イラッとしてきた。




この人たちと関わることは金輪際ないだろうし、白鳥沢の応援に来た、とぶちまけても問題ないと思って口を開く。






あなたのあなた「あなたたちには関係ないです。…私が応援しに来たのは_______」











??「……なにしてんの、」







低い声と共に、私の右手を包んで引っ張られた。




男①、②「ヒッ……」



さっきの人たちが、小さく息を漏らすように悲鳴を上げた声が、どんどん遠ざかっていく。









握られた手の先を見ると、真っ白なジャージが目に入って、












国見「…こういう、めんどくさいのに絡まれるのは変わってないのかよ。」




そうボソっと呟く懐かしい声に、繋がった右手が熱くなる。







あなたのあなた「……英、くん?」



国見「…高校生になってもそう呼ばれんの、やなんだけど。」



英くんは前方を向いたまま歩き続ける。





あなたのあなた「……じゃあ、国見くん?」


国見「は?」




より低い声で本音をこぼす英くんに…私の知らない英くんに、少し怖いと思った。



英くんは足を止めると、手を繋いだまま振り返って、私を見下ろした。





あなたのあなた「ご、ごめ________」




国見「……英。」



あなたのあなた「……へ?」


国見「そう呼んでよ。これから」



表情はポーカーフェイスのままだけど、口調は甘えたな感じで。





あなたのあなた「わ、わかった……、あきら。」




私は何だか恥ずかしくて、下を向いたままそう呼ぶと、当の本人は何も言い返してこなくて無反応だった。




あなたのあなた「ねぇ、ちゃんと呼んだけど_____…っ」



英、と呼び捨てで呼んだことの恥ずかしさよりも、無反応のこの空気に耐えられなくなって、私は顔を上げる。








国見「…………上目遣い反則。」




そう言って顔を逸らす英くn…いや、英に、思わず笑みがこぼれる。



あなたのあなた「ははっ笑…なーんか、英は全然変わってないね。あの塩キャラメルも好きなままだし、」





あの頃の英だ、と思うと心が暖かくなって、


嬉しくなりながら、浮かれた声色でそう告げた。











……けど、それは英はお気に召さなかったようで。










国見「……ガキのままだって言いたい訳?」





繋がれたままの手を強引に引かれ、私を壁と自身で挟むとあっという間に距離を詰めた。




あなたのあなた「ちょっ……英くん、っ」



国見「……だから、英だってば。」





「間違えたから、罰ゲームね」と言って、私の右手をぎゅっと強く握り直す。



そして、空いたもう片方の手を私の顔の横に押し付けると、私の視界には英くん以外入らなくなっていた。










国見「………俺が子供のままだなんて、二度と思わせないようにするから。」
















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