第44話

…すみません。
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2021/07/16 20:53


日向「このサラダうめぇ!なんか、初めて食べる感じ!」



日向くんが勢いよくおかずを口に詰め込むと、ようやく箸を止めて、もごもごしながらそう言った。




咲希「それね、あなたのあなたが味付けしてくれたんだよね。」


咲希は日向くんと同じクラスだから、リラックスした雰囲気が2人の間に流れていて、日向くんもその言葉に「へーっ!ちなみに本田さんは何作ったの?」と会話が続いた。




結「もうあなたのあなたスゴいよ〜こんなに付け合わせのおかず考えてくれて!」


あなたのあなた「いやいや1人で作ったわけじゃないし…結だって、野菜の下ごしらえしてくれたじゃん。」


結「こんなにおかずのレパートリー持ってるんだから、もっと自信持ちなさい!」


あなたのあなた「は、はい……?」




結って怒ると怖いんだよね…何気にお姉ちゃん気質。まぁ、これはまだ序の口程度だけど、





山口「え…じゃあこのおかず全部考えたのって_______」



真佳「そう!あなたのあなたなんだよ〜」


玲奈「なんで真佳が得意げなのよ笑」


真佳「えへへ〜///( ´•ᴗ•ก)ポリポリ」



慌てて「や、いつも家で料理してるだけだし…」と反論すると、逆に先輩たちも目を丸くした。




縁下「へー偉いなぁ…。俺なんて自分のことで精一杯なのに。」



西谷「じゃあ、家でも母さんの料理手伝ってんのか!?すげぇなー!」










あ、











あなたのあなた「……あー、まぁ、そんな感じです笑」





「っていうか、お手伝いというより趣味みたいなものです。」と言葉を付け加えて笑うと、次々にみんなが感心して、私もその言葉一つ一つに笑顔を返す。













『あなたのあなたー、お野菜切るの手伝ってー』




『いつも手伝ってくれてありがとうね笑』



『……うん!美味しくできたね』




脳裏にあたたかくて懐かしい声が響いてくる。










あー、今日はダメだ。


久しぶりだから、余計に時間がかかるかも。











机を囲む笑い声と明るい空気とは裏腹に、私の笑顔だけは心の底か笑っていなくて、



ただその場しのぎの笑顔を貼り付けていた。




















夕ご飯の後片付けを終えると、女子は順々にお風呂へと向かった。




あなたのあなた「私はやることがあるから、先お風呂行ってて。」


真佳「え…本当にいいの?」


あなたのあなた「うん。」


真佳「じゃあお先に、」


そう言って、みんなが食堂を出るのを見送ると、ワンテンポ遅れてから、ふぅーっと長いため息をつく。





近くにあった椅子に座ると、ノートを広げてシャーペンを走らせる。







ただ、何も考えずに。無心でひたすらと。




一瞬でもペンを止めてしまえば…





また蘇ってくる________



















??「あれ……まだいたんだ。」




この声…って、



入口の方にそっと視線をやると、頭に思い描いていた人物と同じで。










あなたのあなた「……菅原先輩、」




先輩はお風呂上がりなのか、首にタオルをかけていて、その銀髪からはこぼれるように、少し雫が垂れていた。




菅原「なにしてたの?」



ニコニコ顔を浮かべてこっちに数歩歩み寄ると、机の上に置いてあったノートを覗き込む。




あなたのあなた「あ…それまだ書き途中で……」



菅原「え…これ全部白布さんが考えたの!?」




先輩が驚いているのはきっと、そのノートがただの料理のレシピノートじゃなくて、吹き出しで書かれていたメモの方だ。






『ニンニクに含まれるアリシンが、豚肉のビタミンB₁の吸収率を高める』


『↑ビタミンB₁は、エネルギー代謝に関わる栄養素。不足すると疲労を感じたり、やる気がなくなる』


『にんじんはβ_カロテンが豊富に含まれていて、油で調理すると吸収率up←炒め物に最適』







あなたのあなた「ちょっと教科書見たり、ネットで調べたりしながらですけど…笑」


菅原「すごいなぁ!な、ちょっとノート貸してくんない?」


あなたのあなた「別に構いませんけど、」




先輩は「サンキュー」と言ってノートを受け取ると、パラパラとページをめくりだす。




先輩は、めくっては料理を見て、「うわぁ〜名前からしてこれとか美味そう!」とか、「え、大根の上の葉ってふりかけにできんの!?」と楽しそうにノートを見てくれた。




私もコロコロ変わる先輩の楽しげな表情に目が離せなくて、自然と口角が上がっていたのが自分でも分かった。





菅原「全部美味そうだったなぁ…」


あなたのあなた「ありがとうございます笑」





そう言ってノートを返してくれると、少し沈黙が続いた。






先輩は、私の近くに寄せていた椅子に座って、首にかけていたタオルで髪をがしがしと拭く。




顔を伏せて、ましてはタオルで先輩の顔は見えなくて、








…菅原先輩が何かを言い出そうとしてること、そしてそれを言うためにここに来たことを察した。












菅原「……あのさ、さっきの夕飯の時だけど、」





あなたのあなた「…………………はい、」





この固い空気や、先輩の歯切れの悪い言葉。



何となく内容に予想がついて、思わず身がまえる。






菅原「さっきの、西谷の言葉________」





あなたのあなた「……………すみません。」














……ああ、やっぱりだ。




先輩は私の態度が変なことに気がついたんだ。





月島くんの言う、“作り物の笑い方”だったんだろう……










けど、これだけは触れないでほしい。






今、必死で込み上げる悲しさとか、懐かしさとか…そういうの全部を押さえ込んでたんだから。






先輩の気遣ってくれる優しさは素直に嬉しい。けど、触れてほしくないんだ。











……先輩、ごめんなさい。































…………………………!作者より!…………………………




ここで、皆さんに重大発表がございます。










ついにぃぃぃぃぃぃぃ!お目目ちゃんが10000を超えましたぁぁ!!!





ホントに皆さんにどれだけ感謝してきたか…



毎度毎度感謝ばかりで聞き飽きていると思いますが、でも言わせてください。







みんな!いつも読んでくれてありがとう!!






☆も、あと26個で100になるっっ!








いつも新作を出すと必ず♡押してくださる常連の皆さんも!ありがとうございます!!ちゃんと認知してますよ〜笑








これからもなのちゃん🍯🥜をどうぞよろしくお願いします!





じゃあ次の話で会いましょ〜!





次は菅原先輩sideスタートですっ






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