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第1話

学パロ(じんテオ)①
2,034
2019/08/16 04:18
※モブ要素あります。苦手な方はおすすめしません。








季節は春。
俺は親の転勤の都合で、この私立羽不高校に通うこととなった。


田んぼしかないような田舎出身の俺は、東京の私立高校を見て驚愕した。
じん
じん
うわー!これが羽不高校か!めっちゃきれいだな〜!
じんがあっけにとられていると、後ろからポン、と肩を叩かれた。

あの、もうすぐ授業始まりますよ。
じん
じん
え!?あ、ほんとだ!職員室行かなきゃ!
あっ教えてくれてありがとね!
あっ…いえ、…
じんは、親切な男子生徒に別れを告げ、駆け足で職員室へと向かう。


ガラッ
じん
じん
失礼します!
先生
先生

ああ、君が藤枝くん?
じん
じん
はい!藤枝です!
よろしくお願いします!
先生
先生
こちらこそよろしく。
僕が2-A担任の、小林だ。
わからないことがあればなんでも聞いてくれ。
じん
じん
ありがとうございます!
先生
先生
さっそく、教室に行こうか。
小林先生は中肉中背のイケメンで、女子生徒から人気のありそうな先生だ。



先生のあとをついてしばらく歩いているうちに、1-Aの教室に着いた。

先生はドアを開ける前に、くるっとじんの方に振り返った。
先生
先生
みんなの前でちょっとした自己紹介してもらうけど、緊張しなくていいからな!
一発ギャグとかやってもいいぞ〜
ニヤッとしながら先生は言う。

じんも負けじとニヤッと笑う。
じん
じん
一発ギャグは得意分野です。
先生は微笑みを浮かべ、また前を向き直し、ドアを開ける。


ガラッ
先生
先生
みんな席につけー
先生の入室とともに、みな自分の席へと戻る。


先生の後ろをついて教室に入ると、教室内がざわざわし始める。

先生
先生
静かに!
今日は転校生を紹介するぞ。
じゃあ、藤枝。自己紹介。
じん
じん
はい。
えーと、どうもはじめまして!藤枝仁です!
みんなからはじんたんって呼ばれてます!

それから…趣味でYouTubeに動画をアップしてるのでぜひ見てください!
ざわっ
生徒A
生徒A
え!?
YouTuberってこと??
生徒B
生徒B
えー!すげー!
先生
先生
はいはい。
聞きたいこともたくさんあるだろうけど、後でな。

じゃあ、席は…寺島の隣が空いてるな。
先生が指さす方を見ると、今朝話しかけてくれた男子生徒がいた。


思わずじんは あっ と声を上げた。
じん
じん
あれ?今朝の…だよね?
テオ
テオ
あ、うん…
先生
先生
ん?知り合いなのか?
じん
じん
あ、いえ。
知り合いっていうか、今朝ちょっと話しかけられて…
テオ
テオ
………
先生
先生
へえ……

…よし、じゃあ授業始めるぞ!
藤枝もはやく席につけ。
じん
じん
あっはい!
じんは慌てて席に着く。

教科書を机に広げながら隣の席の寺島に話しかける。
じん
じん
今日からよろしくな!
わからないこととか色々聞いてもいいかな?
テオ
テオ
あ、うん…よろしく。
あの、わからないことは、俺なんかじゃなくて先生か学級委員に聞いた方がいいよ…
そう言うと、ふっと目線を教科書に向けてしまう。

なんだ案外冷めた奴だな、と思い、じんも授業に戻る。
キーンコーンカーンコーン


授業終了のチャイムが鳴り、生徒は一斉にじんの周りに集まる。
生徒A
生徒A
ねえねえ、YouTubeの動画ってどういうの上げてるの??
生徒B
生徒B
お前、どこから来たの?
生徒C
生徒C
俺もYouTubeに出てー!
生徒A
生徒A
バカ、あんたの顔面じゃ無理よ。
じん
じん
あ、あはははは。
マシンガン並みの勢いで質問され、追いつけないじんは苦笑いした。


隣のテオが立ち上がるのに気付き、思わず声をかける。

じん
じん
あっどこ行くの?
テオ
テオ
……先生のとこ
ガラッ
相変わらずのそっけない態度。


それを見た生徒のひとりが口をとがらせて言う。、
生徒A
生徒A
なんなのよ、あの態度!
藤枝くん。あいつと関わらない方がいいよ。
じん
じん
あ、じんたんでいいよ。
どうして関わらない方がいいの?
生徒B
生徒B
クラスのみんなにもあんな態度だし…
見た目チャラいし、いい噂も聞かないし…
生徒A
生徒A
そーそー!
それに休み時間になると、いっつもどっか行くし!
生徒C
生徒C
たしかに。
いつも教室いないよな。
じん
じん
へえ〜そうなんだ。
でも、噂ってどんな?
生徒A
生徒A
大きい声で言えないんだけど〜
ヤバイ奴らとつるんでるとか…
生徒B
生徒B
俺が聞いたのは、怪我が絶えないのは、毎日喧嘩してるからで、1人で10人倒したこともあるらしいぜ。
生徒C
生徒C
親が金持ちで、一人暮らしっての聞いたことある。
なんでも親がガキに興味ないらしくて、知り合いに世話を頼んで日本に置いてかれたとか。
じん
じん
そ、そうなんだ…
どれも信じがたい話で、顔を歪める。


キーンコーンカーンコーン


休み時間の終了を知らせるチャイムとともに、ドアが開く。


テオが教室に入ってきた。


みなテオの顔を見て驚く。

さきほどまでとは打って変わってしん、と静まり返る。


じん
じん
!!!!
て、寺島くん…どうしたの、それ…
テオの左頬は赤く腫れていた。


たった数分の間で何があったのか。


みなひそひそと議論し始める。
生徒A
生徒A
え…なにあれ。喧嘩…?
生徒B
生徒B
いやいや数分で喧嘩って…
テオは気にせず、自分の席に着き、教科書を出す。


先生はまだ来ない。

じん
じん
あの、寺島くん。
保健室には…?
テオ
テオ
………いい…
じん
じん
あの、でも、腫れてるよ?
痛くないの?
テオ
テオ
痛くない。
じん
じん
い、一応行っておこうよ。…ね?
テオ
テオ
いいって。
俺に関わらないで。
じん
じん
っ…
そんなこと言われても…心配だし…
テオは無視する。
じんは ガタ と立ち上がり、テオの腕を引いて教室を出る。


テオは目をまんまるにして、じんにされるがままである。


ずんずんと歩み進め、やがて職員室にたどり着く。
ガラッ
じん
じん
先生!
先生
先生

どうした?藤枝……と、寺島。
じん
じん
あの、寺島くん。怪我してて…
保健室ってどこにありますか?
先生
先生
保健室ね。俺が連れて行くから藤枝はもう教室に戻りなさい。
にこりと小林先生が微笑む。


じんは、それなら…と寺島の腕を掴んだ手を離そうとする。


ガッ


すると、寺島が逆にじんの腕を掴んでくる。


じんは突然の行為に驚く。
テオの方へ振り返ると、

テオは今にも泣きそうな顔でじんを見てきた。


すがりついてくるような、困ったような顔で。



じんはとっさになにかを察知し、先生の申し出を断った。
じん
じん
あ…いえ、場所も確認しておきたいので、俺も行きます!それに俺、寺島くんが心配だし…
その言葉にテオは安堵したのか、腕を掴む力が少し弱まる。
先生
先生
……そうか。じゃあ、案内するからついてこい。
先生が立ち上がり、3人で保健室に向かう。


テオは保健室に向かう間、ずっとだんまりだった。




ガラッ
先生
先生
保健室の先生いないみたいだな。
じゃあ俺が手当てしてやるから、そこ座れ。
じん
じん
え、先生できるんですか?
先生
先生
まあな。
ここで、校内放送が流れる。


『小林先生。小林先生。至急、職員室までお戻りください。』
先生
先生
あ、戻んないとだな。
藤枝も教室に戻っていいからな。
じん
じん
はい、ありがとうございます。
先生は足早に保健室を立ち去る。
返事はしたものの、教室に帰る気にはなれず、テオの隣に黙って座っていた。
テオ
テオ
あの、藤枝。もう、戻ってて大丈夫。
ありがとな。
見兼ねたテオはようやく口を開く。
じん
じん
いいって。ほんとに心配だし。
てか、小林先生となんかあるの?
テオ
テオ
っえ、なにもないけど…
じん
じん
そっか。悪い、変なこと聞いて…
テオ
テオ
いや、大丈夫…
じん
じん
……
テオ
テオ
……
再び沈黙が訪れる。



その沈黙を破ったのはテオだった。
テオ
テオ
あ、の…
今日のこと誰にも言わないで…
じん
じん
え?なんで?
テオ
テオ
理由は言えないけど…
みんなに言わないでほしい
じん
じん
ん〜…わかった!
約束する!
テオ
テオ
あ、ありがとう。
じん
じん
そのかわり、俺のことじんたんって呼んでよ!
テオ
テオ
え、うん…じんたん…
じん
じん
寺島くんは?なんて呼ばれてるの?
テオ
テオ
みんなからはテオくんって呼ばれてる
じん
じん
じゃあ俺もテオくんって呼ぶね!
テオ
テオ
あ、うん…
でも俺とあんまり仲良くしない方がいいと思う。
じん
じん
どうして?
テオ
テオ
俺、あんまいい噂ないし…
それに………
じん
じん
そんなの全然気にしてないよ!
俺、転校してきたばっかでこの辺のことも全然わかんないし…
教えてくれると嬉しいな〜なんて!
テオ
テオ
…うん、わかったよ。
俺でよければ
じん
じん
やった!ありがとー!
その後、保健室の先生が戻り、テオの手当てをしてもらった。


教室に戻ると、クラスのみんなは怯えているような感じだった。

あのテオと過ごしてなにもされてないのかと疑っているようだった。


じんはそれに気付き、さっき話していた3人に向かってぺろっと舌を出して見せた。


それを見た3人は、フッと吹き出し安心していた。



教室に戻ると、相変わらずテオは無愛想になるが、今はさほど気にならなくなった。


態度は気にならなくなったが、逆に保健室で話していた理由について深く興味を持つようになってしまった。


フフ…
-つづく-

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