第14話

拝啓
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2019/01/03 09:01
〜雅也へ〜
久しぶり!元気だった?
なんて、明るい文面で入ろうなんて思いません。ごめんなさい。人の話も、心も考えないであんなこと言って。たぶん君がこの手紙を読むこともなくて、読むのはたぶん警察の人だから、ここに私の予想を全て書くね。
6年前、君が私を庇って薬を投与された日。君はあの日から殺人鬼になってしまったんだね。人を殺す術は知らない間に体に染み込んで、というか、料理とか、洗濯とか、全部私より上手になったんだね。君は私を大切に思ってくれたからせめて私の心を読み取れるようにしたのかな?そうだったら嬉しいな。あの日から殺人鬼になってしまった君を想うと心が痛いです。あなただって気付いていたら私は逃げなかったのに。君があまりにもかっこよくなりすぎてて別人としか思えなかったんだよ。君は私にとって6年前から、いやもっと前から大切な人だよ。あの日私を守ってくれてありがとう。自殺を止めてくれてありがとう。今日、助けてくれてありがとう。天国でも二人で会えたなら、遺族の人にちゃんと謝りに行こう。もちろん私もついて行くよ。
雅也、大好きだよ 朱里より

〜終~

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