第4話

出会い
51
2019/01/01 02:50
冷たい、冷たい、冷た……
あれ、風がない。
酔いが覚めていない目で彼女は前を向く。
誰だろう。よく見えないけど、カッコイイ人だなぁ。確かそんな感じの印象だった。
「朱里さん、大丈夫ですか?はい、おぶりますよ。乗ってください。」
妙に安心する声。私の拒否権なんて直ぐに失った。いや、拒否する気持ちなんて初めから存在を許されないような優しさだった。
「うん、お願い。」
男の優しい声、肌のぬくもり、ゆったりとした振動。朱里は眠らされた。

さっきまで激しく降っていた雪は、いつしか小雨へと変わり、心無しか気温も上がっていた。

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