第10話

幼き頃
17
2019/01/03 02:42
私には雅也という幼馴染の男の子がひとりいて、毎日一緒に遊んでいた。それはブランコだったり、ジャングルジムだったり、鬼ごっこをしたり、恋の話をしたり。私が話していた特徴は全部君だった。でも、彼は私に特徴を教えてくれなかった。「僕は好きな人いない。」そればっかり。

その日も私達は公園で会う約束をして家へ帰った。5時55分。私は家を出て公園へ向かっていた。が、2つ目の角で私の視界は奪われる。数人の男に体の自由を奪われ、連れ去られた。
目を覚ました私がいたのは、薄暗い研究室だった。いろんな薬品がおいてある。手はもちろん足も首も動かない。予想はしていたが、私の身体は見てくれと言わんばかりに晒されていた。
声も出なかった。涙も出なかった。ただただ前を見つめ、絶望していた。それからだった。私は毎日決まった時間に暴行を加えられる。鼻息を荒くした男どもが私の体を蝕む。抵抗するとすぐに殴られる。ご飯もろくなものは出されない。苦しみなんて、辛さなんて忘れてしまっていた。
寒かったから、たぶん12月だ。男どもは私の身体に飽きてしまったのだろう。その日、少し離れた場所に別の女が連れてこられた。やつらは女の身体を楽しみ終わると液体の入った瓶を持って私の近くに来た。
「お嬢ちゃん、今から君にはこの薬を飲んでもらうよ。」
あぁ、完成しちゃったんだ。最近やつらがコソコソと話していた薬だ。確か作用は、
人格操作と特定のひとりの心を位置情報として読み取れるだったはず。副作用は年齢が止まり、寿命が50年縮むというものだった。私は今まで失っていた感情を取り戻す。嫌だ、死ぬたくない。こんなクズ共の思惑通りになりたくない。そう思い暴れてはみるが、なんせ動かない。その間にも瓶の液体は注射器の中へと吸い込まれる。カランカラン。
その音で私は諦める。男達が私の顔を引っ張り首を垂直にする。そんな時だった。
バンッ!



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