第12話

何万里だって
15
2019/01/03 04:03
私はなんて愚かなんだろう。あいつは最初から私に教えようとしてくれてた。どうして気づかなかったんだろう。なんて、今更謝ってもなんの償いにもならないか。今どこにいるんだろう。会いたいよ。
そう考えてからの朱里の行動は驚くほど早かった。父と母、そしてあいつへの手紙を書き、2枚は机へ、もう1枚はポケットに入れて家を飛び出す。ひたすら走った。走り続けた。心細い。辛い。疲れた。そんな負の感情全てを忘れてしまうほど、彼女の中で彼の存在は大きくなっていた。会いたい会いたい。

時は過ぎ、夜がくる。とても寒かった。吹雪の中で彼女は走り続ける。街ゆく人々の視線など気にせず、ただ1人に向かって我武者羅に走り続けた。狭い路地を通り過ぎようとした時、何かに引っかかり思わず転ける。そのまま彼女の記憶は途切れた。

次に目を開けた時には彼女の体は動かなかった。

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