第6話

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2018/03/27 15:40
それからは早かった。悲しむ間もなくお葬式が始まり、母はあっという間に骨になった。お葬式で会う人に声をかけられても、泣きながら棺から離れない人を見ても、私はただただぼっーとしていた。お葬式が終わり一段落したあと、父から聞かされたのは母の死因だった。
怜の父
怜、よく聞け。
水瀬 怜 (幼少期)
うん。
怜の父
…ママがいないのはね、怜も知ってるかもしれないけどママが天国へ旅立ったからなんだ。あの日は前日に降った雪が溶けて滑りやすくなっていたから車がスリップして…近くの桜の木にぶつかってしまったからなんだよ。
どうして父がわざわざ私に母の死因を言ったのかは分からない。しかし、私はそのとき初めて母がいないことを実感したような気がした。急に悲しく、寂しく、怖くなって父にしがみついて泣いた。

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