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第10話

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水瀬 怜 ミナセレイ
おはよう。
次の日は学校が休みの土曜日だった。
怜の父
怜、悪いな。もう父さん出るから。朝ご飯きちんと食べるんだぞ。
そう言って少し小走りになりながら、父は家を出て行った。別に仲が悪いとかそういうことじゃない。ただ昔から変わらないだけ。昔から変わらず仕事人間なだけ。


朝ご飯を終えてからは特に何もすることがなく、学校の授業の予習、復習をしたり、読み終わっていなかった小説を読んだりとダラダラして過ごした。あっという間に午後になり、あっという間に夕食をつくる時間になった。
水瀬 怜 ミナセレイ
今日は…カレーでいっか。
困ったときにはカレー。最近うちではそれが多い。でも父は何も言わなかった。気を使っているのか、何も気にしていないのか、そういうところは何年一緒に住んでいる親子でも分からない。
水瀬 怜 ミナセレイ
あ、肝心のルーがないじゃん。
一瞬肉じゃがにでもしようかと思ったが、なんとなく肉じゃがを食べる気にはなれずルーは近くのスーパーに買いに行くことにした。




水瀬 怜 ミナセレイ
甘口と中辛っと。
辛いものの苦手な父はカレーが甘口でないと駄目な人だった。私はあまり甘すぎるものは苦手で中辛でも平気で食べられるので中辛にする。会計を終え、スーパーから出ると少し遠くに見知った人物がいることに気づいた。
水瀬 怜 ミナセレイ
琴葉…
私は琴葉に声をかけることもなく、わざと見つからないように家に帰る。だんだん踏み出す足が速くなり、いつの間にか走り出していた。家が見え始め、玄関の扉を勢いよく開けると急いで扉を閉め鍵をかけた。
水瀬 怜 ミナセレイ
同じ目にあったこともないくせに…琴葉はあんなに幸せなのに…
今日は土曜日、琴葉がピアノ教室へ行く日だった。そして…母が事故にあったのも土曜日。今まで忘れたことのない思い出したくもない土曜日。忘れようとしていたのに琴葉のせいで思い出してしまった。
水瀬 怜 ミナセレイ
あ…
いつ付いたのだろうか。私の右肩に桜の花びらが付いている。私には無色に見えるその花びら。私は左肩にかけていたスーパーの袋を持ち直し、右の手のひらでその花びらを握りしめた。