日曜日。朝、いつもより随分早い時間に起きてしまった。時計を見ると5:30だ。せっかくの休みではあるがもう1度眠る気にもなれず、私は2階の自分の部屋から1階のリビングに降りた。
父はリビングのテーブルで新聞を広げ、コーヒーを啜っていた。辛いものだけでなく苦いものも苦手な父はコーヒーのブラックが飲めない。そのためテーブルにはいつものように砂糖とミルクが置いてあった。私が食パンを焼こうとすると、
父に声をかけられた。
言いかけてやめた。昨日のことで言い返す気力も失っている。父も今日はすぐに仕事に行き、帰りも遅い。兄弟もいないため私以外にやる人がいなかった。
私は返事をした。
編集部コメント
引きこもりのおじさんと真面目な女子高生という組み合わせがユニーク。コンテストテーマである「タイムカプセル」が、世代の違う二人をつなぎ、物語を進めるアイテムとして存在感を発揮しています。<br />登場人物が自分の過去と向き合い、未来に向かって成長していく過程が丁寧な構成で描かれていました。