第33話

死にたがり、小さな箱を。
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2022/05/29 12:43
マーダーside





ホラーから未来を受け取り、俺は彼女を横に抱きかかえる。

その間にも男は未来を奪おうとするが、俺達は阻止する。
マーダー
...揺れるぞ、気をつけろ
手短にそれだけ言って、走り出す。

他の奴らは先に行ったようで、残りは俺と未来だけだった。

少し走った所で、未来は俺に言う。
未来
未来
マーダー待って、箱取りに行かないと...!
マーダー
...箱?
未来
未来
うん...あそこの部屋
彼女の指さした方向の先は、木製のドア。

この先の部屋にあるらしい。

願いを振り切って無視するのも可哀想だったから、俺は彼女を降ろして行かせる。

未来は小走りでその部屋に行き、キィ...ときしむドアを開ける。

中を見ると、窓が1つあって、そこからは月の光が差し込んでいた。

部屋にはごちゃごちゃとモノが沢山ある。

未来はそれらを掻き分け、箱を探しているようだった。
父親
父親
くっそ...何処に行きやがッたアイツ...!
扉の先では男の声と、ドタドタと走る音。

その音、声を聞いて俺は骨を出す。

地面から生やさせ、ドアが開いても入れないように覆った。
マーダー
...よし
とはいえ、あの男のことだから骨を割ったりしそうだ。

最悪の場合、斧とかを持っている可能性だってある。

...来れるかどうか分からない。来るかもしれない。
マーダー
...
一応手に骨を持って、角にぶつけて割り、先を尖らせる。

それを何本か作って、ポケットの中に入れる。
マーダー
...あったか?
未来
未来
ううん、まだ...
マーダー
...どんな箱なんだ?
彼女だけではらちが明かないと思い、未来の元に行って質問する。
未来
未来
えっと...小さくて、キラキラしてる、箱...
...それならさっき。
マーダー
ここら辺で...あ、あった
部屋の隅っこで、床に置かれている箱を手に取る。

これか?と言って彼女に見せると、「うん!」とニッコリ笑って頷いた。
マーダー
...じゃあ行くぞ、
走れるか、と言おうとした瞬間、ドアがドンッ!と大きな音を立てた。

危機を察知して瞬間移動をする前に、ドアが壊され、骨までも壊された。
父親
父親
ここかァ...箱を返せ!!
未来の手にある箱を取ろうとする男。

俺は反射的に動いて、作っておいた骨で防ぐ。
マーダー
逃げろッ!
そうして男を押さえ、未来に逃げるように言う。
未来
未来
やだよマーダー!
涙目で言う彼女を見て、どうしようもなく胸が痛かった。
マーダー
いい、からっ、行け!!
俺よりも男の力の方が強かった。

その力に耐えながら、どうにか言い切る。
未来
未来
...ごめんなさいっ!!
大きな声でそう言って、骨の間をくぐってドアから出ていった。

俺はその背中を見て、安心する。
父親
父親
どうしてくれンだ!!箱を返せ!!!
思った通り、憤怒の形相で俺を見る。

俺はそんな男に向けて笑った。
マーダー
...じゃあな
ニヤッと笑って、瞬間移動をした。

ただ、今未来が何処にいるか分からないので、集合場所のインク溜まりだが。
マーダー
...無事でいてくれ
俺は真っ暗な家を睨み、そう願った。

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