マーダーside
ホラーから未来を受け取り、俺は彼女を横に抱きかかえる。
その間にも男は未来を奪おうとするが、俺達は阻止する。
手短にそれだけ言って、走り出す。
他の奴らは先に行ったようで、残りは俺と未来だけだった。
少し走った所で、未来は俺に言う。
彼女の指さした方向の先は、木製のドア。
この先の部屋にあるらしい。
願いを振り切って無視するのも可哀想だったから、俺は彼女を降ろして行かせる。
未来は小走りでその部屋に行き、キィ...と軋むドアを開ける。
中を見ると、窓が1つあって、そこからは月の光が差し込んでいた。
部屋にはごちゃごちゃとモノが沢山ある。
未来はそれらを掻き分け、箱を探しているようだった。
扉の先では男の声と、ドタドタと走る音。
その音、声を聞いて俺は骨を出す。
地面から生やさせ、ドアが開いても入れないように覆った。
とはいえ、あの男のことだから骨を割ったりしそうだ。
最悪の場合、斧とかを持っている可能性だってある。
...来れるかどうか分からない。来るかもしれない。
一応手に骨を持って、角にぶつけて割り、先を尖らせる。
それを何本か作って、ポケットの中に入れる。
彼女だけでは埒が明かないと思い、未来の元に行って質問する。
...それならさっき。
部屋の隅っこで、床に置かれている箱を手に取る。
これか?と言って彼女に見せると、「うん!」とニッコリ笑って頷いた。
走れるか、と言おうとした瞬間、ドアがドンッ!と大きな音を立てた。
危機を察知して瞬間移動をする前に、ドアが壊され、骨までも壊された。
未来の手にある箱を取ろうとする男。
俺は反射的に動いて、作っておいた骨で防ぐ。
そうして男を押さえ、未来に逃げるように言う。
涙目で言う彼女を見て、どうしようもなく胸が痛かった。
俺よりも男の力の方が強かった。
その力に耐えながら、どうにか言い切る。
大きな声でそう言って、骨の間をくぐってドアから出ていった。
俺はその背中を見て、安心する。
思った通り、憤怒の形相で俺を見る。
俺はそんな男に向けて笑った。
ニヤッと笑って、瞬間移動をした。
ただ、今未来が何処にいるか分からないので、集合場所のインク溜まりだが。
俺は真っ暗な家を睨み、そう願った。
編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。