
第47話
極短7
俺は小さい頃からずっと息がしずらい海に沈んでいた
誰かに甘えることも出来ず、手も差し伸べられない
真っ暗で狭くて、汚い、だけど深ーい海に
そこは周りの目を気にしなくてはいけなくて、みんなからは馬鹿にされたり、裏切られたり…
『友達』
そんなものは俺には最初からなかった
なのに
いつも
いつも
いつも
テオって人は俺のところに駆けつけてきてくれた
最初はなんでか分からなかった
いや、分からなかったというよりは怖かった
またなにかされる
きっと裏切られる
そう思っているはずなのに、テオくんという人から離れられなかった
どうして?
テオくんの言葉は俺が怖かったことを全て取り払うかのような言葉だった
『そばに居ていい』安心から涙が止まらなかった
なんて言葉をかけながら、テオくんは俺を抱き寄せ、泣き止むまでずっと頭を撫でてくれた
あぁ、多分俺はテオくんという人に俺は溺れたんだ
深くて、綺麗に澄んだ『テオくん』という海に
もう俺の息が苦しいことはなかった
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