
第32話
小話18
『すごい人ですね!屋台も繁盛しています!』
『こちらのカップルの方に質問してみましょう!お2人はこれからどうする予定ですか?』
『俺たちはこれから花火を見ます!ね?』
『うん!』
『いやー、お二人ともお熱いようで何よりです笑』
今はどこも夏祭り真っ只中
テレビにはいつもの堅苦しいニュースだけでなく、華やかなニュースが流れている
テレビ越しから見てる俺は何の変哲もないただの日常が繰り広げられているだけでなんの刺激もない1日だった
はずだった
プルルルルルプルルルルル
夏祭りなんていつぶりだろうか
そういやテオくんとも一回も行ってない
楽しみだなぁ
すると頭の中であのカップルの姿が浮かぶ
俺はテオくんにあった頃からずっと好きだった
だけど、同性愛なんて認められていないため、ずっとこの気持ちを隠し続けてきた
どんな格好をしてくれたらテオくんは惚れるかな
なんて叶わない夢を妄想しながら準備を進めた
しばらくすると
ピーンポーン
と言ってテオくんが俺の手を取る
俺はその時テオくんも顔が赤くなっていることに気づいていなかった
――――――――――――――――――――
テオくんside
よっしゃぁぁ!じんたんを何とか夏祭りに誘うことが出来た!
そう、俺は今日この夏祭りで告白する予定!
んで、勢いに任せてじんたんの手を取って連れてきたはいいけど…
予想以上に人だらけ
うわーっ思ったより人やべぇ…
これ通れるのか…?
そんなことを考えていると
じんたんが人に流されて繋いでいた手が離れてしまった
俺は咄嗟に
じんたんの腕をなんとか掴み引き寄せ、じんたんを守るようにして抱き、人混みを通り抜け、少し人気のないところに出る
じんたんが耳を真っ赤にして俯いている
それはどうゆう反応?
期待していい反応?
と、じんたんがまるでさっきの反応を感じさせないような笑顔で言ってきた
やっぱ、気のせいか
なんて返してるけど
今の方が俺焦ってる
なんでかって?
だってじんたん、さっきので浴衣がはだけてめっちゃエロいんだもん!
どぉぉぉぉぉしよう!
マジで理性が保てそうもない!
襲っちゃわないようになんとか保つ
けど!もし襲っちゃったらやばいよね!俺らまだ付き合ってないし!
てかじんたんはやっぱ女の子の方がいいよね…
2人きり
スカイハウスでは二人きりなんて当たり前なのに今の二人きりはちょっと違った
今なら…今なら伝わってくれるだろうか
花火が上がる前に
これから打ち上げられる花火よりもっと綺麗な花火が上がることが出来るだろうか
いや、あげてみせよう
不発ならまたあげればいい
何度でもこの思い、この花火をあげればいつかは必ず綺麗に打ち上がる
そう信じて俺は
じんたんが返事をした瞬間
綺麗な綺麗な花火が打ち上げられた
最後の花火が打ち上がる時、俺はじんたんにキスをした
終わったあとに、じんたんの顔を見ると顔を真っ赤にして照れていた
花火は打ち上げられたら一瞬で消えてしまうけれど
俺たちのあげる花火は永遠に消えることのない綺麗な花火にしよう
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