第37話

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2019/08/01 23:47
〜出発の前日の夜 医局にて
ガチャ
白石恵
白石恵
あなた先生まだいたの!?
明日でしょ?早く帰って休みなよ。
あなた

まだカルテの引き継ぎが終わってなくて。
効率が悪くてすいません。

白石恵
白石恵
そんなのはやっておくから。
あなた

自分でやりたいんです!
最後くらいちゃんとやって行きます。

白石恵
白石恵
でも…。
緋山美帆子
緋山美帆子
白石。あなたに何言っても聞かないって分かってるでしょ?
白石恵
白石恵
うん…。
あなた

すいません。仮眠室使わせてもらいます。

白石恵
白石恵
藍沢先生とか橘先生に言われても知らないからね!
あなた

はい!

緋山美帆子
緋山美帆子
ほい、コーヒー。
あなた

ありがとうございます。

緋山美帆子
緋山美帆子
ゆっくり語ろうよ。
あなた

あー、カルテが…ははは。

緋山美帆子
緋山美帆子
それやりながら聞いててよ。
あなた

はい。

緋山美帆子
緋山美帆子
私さ患者の家族に一回訴えられそうになった事があんの。
あなた

え?

白石恵
白石恵
緋山先生…。
緋山美帆子
緋山美帆子
患者のためにとやった事が、それが原因でね。どうしていいかわからなかった。訴えはなくなったけど、その時から患者が怖くてたまらなくなって、メスを握っても手が震えた。
あなた

そうだったんですか…。

緋山美帆子
緋山美帆子
私はしばらくの間患者と向き合うのが怖かった。だから、あんたがすごいと思った。辛い状況でも苦しくても前を向こうとするあんたを見てると、すごいを通りこして心配になる。いつか傷つく事があるんじゃないかって。
あなた

大丈夫です。人生で家族を失った事以上に辛い事なんてない。私は1番の辛さを経験しました。だから患者さんがもしそんな経験をして苦しんでたら、少しは助けられる医者でいたいんです。だから私は前を向くんです。

白石恵
白石恵
私はずっと翔北にいる。どこにも行かないわ。だから辛くなってもうどうしようもない時、ここに戻ってきてやり直せばいい。ここは、翔北はあなた先生の医者の原因でしょ?
あなた

はい!

白石恵
白石恵
またきっといつか会える。
成長したあなたを見せてね。
あなた

頑張ります。

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