公園に居る時の記憶はほとんどない。
覚えてることは一つだけ。
ひとしきり夜の公園の遊具で遊んだ後、ブランコに二人で乗りながら他愛もない話をしていた。
すると彼が急に真面目な口調で話し出す。
「今、好きな人とかいるの?」
私は心臓が飛び出るかと思った。好きな人はあなたです。とは言える訳もなく
「いるよ」
とだけ伝えた。
「誰?俺の知ってる人?」
「んー知ってると思う…」
「あのさ…」
「ん?」
「俺。好きなんだよね。」
「え?」
「お前のことが…。」
「え?」
一瞬何を言われてるのか理解できなかった。
頭がフリーズするって多分こういう状態のことを言うんだろうな笑
「俺。お前が好きなの。そんでお前と付き合いたいって思ってる。」
ええええええええええ!?
「ほんと…なの?」
かろうじで言えた言葉はこれだけ。
「うん。話聞いててさ、素直に守りたいって思った。お前は?どう?俺と付き合える?」
言いたい。私も好きって言いたい。けど言葉が詰まって上手く言えない。
「あーごめんな。急かすつもりはなかったんだけど笑」
そう笑いながら私の頭を撫でてくれた。
「す…き…」
「ん?なに?」
「私もあなたが好き…です…」
精一杯の気持ちを込めて伝えると急に目の前が暗くなった。
「よかっっったぁぁぁ…めっちゃ緊張したよ俺…笑」
私は彼に抱きしめられていた。
いい匂い。男らしくたくましい腕に包まれながら私は幸せを感じていた。
編集部コメント
依頼人の悩みや不安に向き合うカウンセラーという立場の主人公が見せる慈愛にも似た優しい共感と、その裏にひそむほの暗い闇。いわゆる正義ではないものの、譲れない己の信念のために動く彼の姿は一本筋が通っていて、抗いがたい魅力がありました!