土曜日のお昼時。
お客さんで溢れかえる店内。
気温がグッと下がって、私なら外に絶対出たくないなあなんて思う気温でも
人はうじゃうじゃといる。
おそろいのマフラーを巻いたカップルが
仲良さそうに店内に入ってくる。
いいなぁ….。
このカップルはきっとクリスマスも一緒に過ごして
一緒に年を越して幸せに過ごすんだろう。
残念ながら、私にはそんな相手などいない。
去年も一昨年も家族と過ごしている。
それでも十分幸せだけど
でもやっぱり、彼氏という特別な人と過ごすクリスマスも一度くらい経験してみたいものだ。
鉛のように重くなった足は
帰宅を言い渡されると案外軽くなる。
休憩室に荷物を取りに向かうと
そこには先輩であるリウさんがいた。
さわやかな雰囲気で私に挨拶をしてくる。
ぺこっと頭を下げて自分の荷物の支度を始める。
リウさんは、お客さんからの人気もかなり高いぐらい
本当にかっこいい人だ。
バイトだからという理由でダル着を着てくる私とは違って
毎日コーディネートをしっかり組んでいるし
毎月新しいネイルに変わるし髪色もコロコロ変わっている。
リウさん目当てでやってくる女性がいるほど
かなり人気が高いのだ。
荷物はまとめ終わっているのに
ベンチから立ち上がろうとしないリウさん。
誰かを待ってるのだろうか?
マフラーを巻き終えて荷物を肩にかける。
駅までの道。
私の隣にはリウさんが並んでる。
他愛もない会話。
リウさんって思っていたよりも柔らかい人なのかもしれないと思う。
いつもは仕事ができすぎて
すごい人みたいに感じていたから、
そんなギャップに少し驚いたりもする。
駅が目の前になる。
なんだかリウさんとの話のペースに
心地良さを感じている自分がいる。
帰りたくない。
どうしてかそんな気持ちが芽生えてしまっている。
そこから私とリウさんはバイト終わりによく
甘いものを食べに行く関係になった。
私の前のリウさんは
あの頃のリウさんより明るくなって
リウさんの前の私も
あの頃より明るくなった。
end













編集部コメント
主人公は鈍感で口下手ではあるものの『コミュ障』というほどではないので、キャラの作り込みに関しては一考の余地があるものの、楽曲テーマ、オーディオドラマ前提、登場人物の数などの制約が多いコンテストにおいて、条件内できちんと可愛らしくまとまっているお話でした!<br />転校生、幼馴染、親友といった王道ポジションのキャラたちがストーリーの中でそれぞれの役割を果たし、ハッピーな読後感に仕上がっています。