第12話

第3章 恐怖の"カグツチ" 2
27
2020/08/18 07:58
 7月23日午後4時41分。

圭介達3人は神志山駅の前に呆然と立ち尽くしていた。

品川駅からここ神志山駅まで約6時間。ほぼ座っているだけではあったが、その疲労は計り知れないものであった。

セミの鳴き声も朝に比べて大人しくなり、束の間の涼しさを感じられた。
鳥羽警部
鳥羽警部
迎えのパトカーが来るって言ってたんだが、遅いなぁ。
鳥羽が腕時計を見て呟く。

その直後、猛スピードで飛ばしたパトカーが3人の前に停車した。
城ノ口警部補
城ノ口警部補
いやー、お待たせしました。僕の準備が少し手間取ってしまいまして……。
爽やかな笑顔でパトカーの助手席から降りてきたのは、鳥羽よりもひとまわりは下と思われる刑事だった。
鳥羽警部
鳥羽警部
いやいや、全然大丈夫ですよ。
鳥羽はさっきのしかめっ面は何処へやらと言った感じの笑顔で刑事に応えた。
城ノ口警部補
城ノ口警部補
申し遅れました。私三重県警刑事部捜査一課の城ノ口と申します。天下の警視庁の警部殿とご一緒させていただけて光栄です。
城ノ口はニカっと笑い、敬礼して見せた。
鳥羽警部
鳥羽警部
俺は警視庁刑事部捜査一課の鳥羽だ。でこっちが付き添いの圭介と亜美。よろしくな。
亜美
亜美
よろしくお願いします。
亜美は少し緊張した面持ちで軽く頭を下げた。
圭介
圭介
それよりどうしたんですか?その右手。
圭介は先程から気になっていた疑問を城ノ口に投げかけた。
城ノ口警部補
城ノ口警部補
あぁ、これかい?
城ノ口ははにかみながら、包帯が巻かれた右手を挙げた。
城ノ口警部補
城ノ口警部補
実は昨日VRのゲームをやっていたら壁に思いっきり手をぶつけてしまってね。骨折しちゃったんだよ。
鳥羽警部
鳥羽警部
だから助手席に座ってたってわけか……。
鳥羽が呆れ顔で城ノ口を見る。
城ノ口警部補
城ノ口警部補
はい。これじゃあ考え事をする時のタバコが吸えないんですよ。
城ノ口は顔を赤くして応えた。
城ノ口警部補
城ノ口警部補
そ、それより例のホテルここから近いですから、早速行きましょうか。
城ノ口は後部座席の扉を開けると、3人を促した。

3人が乗り込んだのを確認して、ドアを閉めると、城ノ口は反対側に回り込み助手席に腰を下ろした。

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